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オールをやっちゃいました。
ギャグです。
シリアスなのはきっとヒロインだけです(笑)

しかも続きます。
前・後編でお届けする序章的なもので、シリーズにしちゃいました。

私、実はこういったの書くのが凄く楽しくて大好きなんです。
今回千鶴ちゃんは幼児化しちゃってますので、そういった内容が苦手な方は避けてくださいね。
(しかし、このもとネタ分かる人…いるかな??)

では、右下からどうぞ~。


 

 

 


 ある日の夕刻。
 夕餉の支度ができた事を、山南に告げに来た千鶴は何故か彼の前に正座をしていた。
 その視線は山南の差し出した掌の上に注がれている。

 そこにあるのは小さな青い飴玉…の様なものが一粒。

「…これを、飲み込むんですか?」

 どこか怪訝そうに、おずおずと、千鶴は山南に尋ねる。

「ええ。警戒しないで下さい。ただの飴玉ですよ」
「……飴玉を頂けるのは嬉しいんですけど、嘗めないで…飲み込む、んですよね?」
「はい。そちらの方が良いそうです」

 何が良いんですか、と問いただしたい。
 というか、誰が言ったんですか山南さんと千鶴は思う。
 あくまでも、心の中で。

「……え…っと」
「他の人でも良いんですが、貴女が一番適任だと思うんですよ。ですから、飲んでくれますね?」
「さ…山南さん…あ、の…」
「雪村君、もしもがあっても必ず責任は取りましょう。………。ね?」

 山南の『ね?』の間に『土方君が』と聞こえた気がしないでもないが…。
 千鶴は、生唾を飲み込む。

「さぁ、雪村君」

 笑顔の山南ほど恐ろしく感じるのは、多分間違いなく正しい事だ。
 だけど、どう考えても怪し過ぎる。

 断ろう。

 意を決した千鶴が前を向き、口を開いた瞬間。
 それは口の中に飛び込んで来る。

 ゴクッ

 あまりの勢いに思わず飲み込んでしまった。

「さっっさんな…ん…」
「大丈夫ですよ。おや、早速効いてきたみたいですね」

 効いてきたって、何がと声を出そうとしたが。
 自分の身体が微かに発光している事に気が付き、山南を見上げる。

「試作品と聞いていましたが、なるほど」

 山南はにっこりと微笑むと、彼女を、抱き上げた。

 

 

 

 

「と、言うわけですから。取り敢えず宜しくお願いしますね」

 食事を取る広間に姿を見せた山南は、先に腰を下ろしていた土方にそう告げる。
 困惑を隠せない土方は、たった今、山南から渡されたそれと彼を交互に見ながら、

「わ…悪い、山南さん」
「何です?」
「もう一度…説明してくれるか?頼むから、もっと分かりやすくっ」

 と懇願した。
 周りの幹部達も驚いたまま誰も口を開かない。
 そんな中で、

「ひじかたしゃん…」

 山南から渡されたそれは、涙声でそう言った。
 土方の腕の中にある…【いる】のは可愛らしい幼女。

「しゃんなんしゃんが、しゃんなんしゃんがぁ」
「お、お前も落ち着け…」
「こ、ことわりょうとおもったんでしゅよぉ」

 必死に言葉を続ける幼女。
 大きな瞳に涙をいっぱい湛えて。
 ウルウルとするその瞳がなんとも愛らしい。

「山南さん!」
「ですから、とある筋から研究依頼が来ましてね?」
「どこだよそれは」
「とある筋です。聞くのは野暮ですよ」
「……で?」
「なんでも、一粒飲むと10年歳が戻る不思議飴、の試作品だそうです」
「……………は?」
「試作品なんで10歳程との事でしたから今回は12~3歳くらいでしょうね」
「何で、そんな怪しいもん」
「効力は約1日。まぁ、何れは10年歳をとる赤い不思議飴を作る予定だそうですがね」
「はい、山南さん」

 そこで漸く幹部の一人、沖田が挙手をして口を開いた。

「何です、沖田君」
「じゃあ、約1日彼女はそのまんまって言う事なの?」
「らしいですよ。個体差はあるかもしれませんがね」
「へぇ~面白いですねぇ」
「おいこら総司!」
「良いじゃないですか、土方さん。死んじゃうわけでもないんでしょ?」

 沖田は立ち上がり土方の前まで歩むと、彼の腕の中から愛らしい幼女を抱き上げる。

「おきたしゃん…」
「山南さんが約1日って言っているんだからきっとそうなんだよ」
「でもぉ」
「君って、小さい頃からこんなに可愛かったんだね、千鶴ちゃん」

 沖田の腕の中の幼女が千鶴と呼ばれて、頬を膨らませた。
 流石に子供好きと言われるだけあって抱きかたは慣れたものだ。
 左腕に幼女のお尻を乗せ、右手でその背中を支えてやる。
 顔の高さも同じ位置にあわせると、満面の笑顔を向けた。

「おきたしゃん、ひとごとやとおもってゆでしょ」
「うん!」
「……こ、こんどぉしゃん~」

 今の今まで固まっていたらしい、新選組の局長はそこでやっと動きを取り戻した。

「さ、山南君。いっいいいくらなんでもこれは」

 近藤の動きは、からくり人形のそれだ。
 ギシギシと音がなりそうな動き方で首を回し、山南を見上げた。

「どうしても断れない筋からの依頼でしたので、申し訳ありません。本当は幹部の誰かでも良かったのですが、何かあった時に役に立たないとなると困りますからね」

 彼女にお願いしたんですよ、と山南は微笑む。
 どの筋か近藤が尋ねてみてもきっと山南は答えないだろう、そんな笑顔だ。
 というか、今さらりと恐ろしい事を口にしなかったか?
 これはもう彼には何も言わないでおく方が良いのかも知れない。

「あ~…ゆ、雪村君…なんだね?」

 近藤が尋ねれば、

「あいっ」

 沖田の抱える子供が頷く。

「あっははははっ!『あいっ』だって、可愛いなぁ!」

 頬擦りをしてくる沖田に、腕の中の幼女『千鶴』は溜め息を吐いた。

「と、言うわけですから私は暫く研究を続けますので、彼女の事をお願いしますね」

 最初と変わらぬ笑顔の山南の腕には、いつの間にか夕餉のお膳が持たれていた。
 食事は部屋で取るという。
 止める間も無く襖は閉められ、足音も遠ざかっていった。

「取り敢えず、着物をどうにかしなくちゃね、千鶴ちゃん」

 千鶴の着ている物は、いつもの着物のまま。
 着ているというより巻きつけられているというのが正しいだろう。
 ちなみに袴や髪紐は、山南の手で綺麗に畳まれ、広間の隅に重ねてあった。

「あったまいてぇ~…つーか、おい総司」
「何です土方さん」
「お前、良く平気だな」
「何言ってるんですか、だって山南さんですよ?」
「……なにがだって何だよ。ああ…けど納得しちまう自分がいるのも事実…」
「ひじかたしゃぁん」
「ち…千鶴なんだな…?」
「あい…」

 土方は大きな溜め息を吐いた。

「あ~もういい、話は後だ。……飯にしようぜ、近藤さん」
「ん…あ、ああ。そ、そうだ、な」
「ほら千鶴ちゃんもお腹すいたでしょ」
「……あい」
「くっくっく、その返事、僕気に入ったよ」
「やって、しょうなっちゃうんでしゅもん」
「はいって言ってみて」
「………ひゃ…あいっ」
「ふっくくっ、か、可愛い、可愛いよ千鶴ちゃん」
「おきたしゃぁん」
「可愛いって言ってるんだよ」

 沖田は千鶴を抱いたまま、彼女の膳の前に行きそれも持ち上げると自分の席に戻り千鶴の膳も横に並べた。
 隣りに座る斎藤が、沖田の膝の上に座らされた千鶴を未だに信じられないという表情で見下ろす。

「しゃいとぉしゃん」
「………ゆ…きむら…」
「あい」

 こくんと千鶴が頷く。

(た、確かにこれは…か、か…可愛い…と、いえるか…)

「しゃいとぉしゃん?」

(しかし、彼女は巻き込まれたのであって、ここで可愛いと言ってもそれは褒めた事になるのだろうか?)

「どうちまちた?」

(舌っ足らずな話し方も愛らしい、だが彼女にとってそれさえ褒め言葉になるのかも分からん)

「おきたしゃん、しゃいとぉしゃんが…」
「珍しいな、固まってるね一君」
「だいじょぉぶでしゅか?」
「ほっとこ。ほらご飯」

 なにやら固まってしまった斎藤はそのままにして、そして未だに固まったままの他の幹部達も綺麗に無視して。
 沖田がそう言うので、千鶴も食事を始めるべく箸を握った。

 

 


続く。


 

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