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大変長らく御無沙汰しておりました。
その間にも、
70,000HITありがとうございました!
新年明けの仕事が思った以上にきつくて、しかも風邪っぴきで薬を飲んでたりとかで…殆どバタンキューしておりました。
年かなぁ…(涙)
体調は回復しましたのでまたちまちま書いていきます!
今日はやっと書き上げた千鶴ちゃんをまず更新です。
もう10話目?
やっと10話目?
まだ10話目??
そんな感じです。
千鶴ちゃんの時間帯はまだお昼にもなっておりませんので(滝汗)まだまだ暫くはお付き合い下さいませ。
それでは久しぶりの千鶴ちゃんは右下の方からどうぞ。
「何で千鶴がここにいるんだ?しかも木山さんと」
不思議そうに問いかけながら側に来た原田が千鶴の頭に手を置く。
「ひじかたしゃんとへーしゅけくんといっちょにしょじょうをおちょどけにきたんでしゅけど…」
「けど?」
「多分長州派の不逞浪士共だろうな、向こうで一騒ぎあったみたいでさ」
「へーしゅけくんとあしょんではんちぇいにいっちゃひじかたしゃんをまっちぇたやしょこにおきたしゃんがきちぇ」
「こっちに来てた土方をこの子が呼びに一人で走ってきたみてぇだよ」
「…要点が掴み難いがまぁ何となく分かった。…それでか」
千鶴と木山の説明にある程度納得がいった様な原田が言う。
「向こうの通りで一番組と会ったんだけどよ、総司がいなかったからさ。総司の事だ。お前らを見かけた時に浪士共が平助を狙っている事に気が付いたんだろうな」
「新選組は恨みかってるからなぁ」
「人事みたいに言ってっけど、あんたらもそう大して変わらねぇだろうが」
「俺は意外と平和主義なの」
「よぉっく言うぜ」
「言うはタダだろ」
「千鶴、良いか?こんな男だけは選ぶんじゃねぇぞ」
そうは言いながらも原田の顔は笑っている。
新選組の幹部達が気を許すこの木山という藩士が一体どういう人なのか気にはなるのだが。
「へ-しゅけくんたち、だいじょおぶでしょおか」
今は頭の中の好奇心よりも、向こうで戦っている人達の事が最優先だ。
「沖田と藤堂に、うちの藩士共だろ?極めつけは鬼の副長だ。ま、もう直ぐこっちに戻って来るさって、ほらあっち」
あっちと木山が指差した方向は、先程自分が走ってきた道だ。
そちらを向くと土方と沖田を先頭に捕らえられた浪士と、その綱を握る藩士、後方には藤堂の姿も見えた。
「あ、ちーづるちゃーん」
こちらの視線に気が付いたのか、沖田が手を振って駆け寄ってきた。
「おきたしゃん!」
「ちゃんと僕達の言う事聞けて偉かったよ。本当はここで沢山褒めてあげたいところなんだけどさ」
「一番組なら3つ向こうの通りですれ違ったぜ」
「あ、本当?じゃ、土方さんが煩いから巡察に戻るよ。左之さん達は?」
「俺達はこのまま屯所に向かうとこだ」
「え~いいなぁ」
「ほらここで話しこんでると、土方さんに怒られるぜ?」
「だよね~。それじゃ、千鶴ちゃんまた後でね」
「あい。あ、あにょ!」
「あにょ?…あにょ……ぶふっ、あ、あにょって!」
「おきたしゃん…」
「ああもう可愛いなぁ!ぎゅって抱きしめてあげたいんだけど、少し返り血がついてるからやめとく。千鶴ちゃんを汚したくないから」
「おけが、ないでしゅか?」
「無いよ」
「よかっちゃぁ」
「帰ったらいっぱい抱っこしてぎゅっとしてあげるからね」
「ほ…ほどほどでおねがいちましゅ…」
「程々にいっぱいね。っと、鬼が来たから行くね」
そう言うと沖田は軽い足取りでまた走り出した。
「おきおちゅけちぇいってやっしゃいましぇ!」
「は~い!」
背を向けたまま手を振ると、沖田は路地の方に姿を消した。
「ったく、総司は行ったか」
「ひじかたしゃん、しょえにへーしゅけくん!」
「よ、千鶴。左之さんも来てたんだね」
「偶々な」
「あれ、左之さんが持ってるの」
「この鞠、そっちに転げてたんだが」
「千鶴のだぜ、それ」
「そうなのか?」
「あ、あい。しゃっきこよんだちょきにこよげちぇいっちゃいまちた」
「ほらよ…って転んだのか?」
原田が先程拾い上げた鞠を千鶴に渡しながら問いかける。
「あい」
「お前こそ怪我してねぇのか?」
「千鶴、痛い所とか無いのか?」
「はやだしゃん、へーしゅけくん」
心配そうに自分を見詰めてくる二人に千鶴は笑顔を見せた。
「だいじょおぶでしゅ!」
その笑顔に彼女を心配していた二人もほっと胸を撫で下ろした。
「千鶴預けたまんまですまねぇな、木山さん」
そんな様子を見ながら土方が木山に向かい手を伸ばし、その腕の中にいた千鶴を引き取った。
「特に何もしてねぇよ。な、千鶴ちゃん」
土方の腕に移った千鶴の頭をわしわしと撫でて木山が笑う。
「浪士達はこのままこっちが引き受けるよ。後の始末はしといてやるよ」
「手間が省けて助かったぜ」
「だろうよ」
先程襲い掛かってきた浪士達は、会津藩士達に連れられて藩邸へとその姿を消した。
「さてと、俺達はまだ近藤さんの頼まれ物があるからな、行くか」
「頼まれ物?」
「おまんじゅうをかいにいくんでしゅ」
「なら、向こうの通りに『桂屋』って店があるから行ってみな。美味いって評判だから」
「ほんとうでしゅか?あいがちょおごじゃいましゅ、えちょ、きやましゃん」
ふんわりとそんな音がしそうな笑顔に木山が目を瞠り、そして目尻を下げた。
「……新選組幹部が揃いも揃って落ちた理由が分かったような気がした」
「?」
「千鶴ちゃんは土方のお姫様かと思ったが、新選組のお姫様だな」
「おひめしゃま?…ふえぇぇ?」
「お姫様の愛らしい笑顔には誰も勝てっこねぇよな」
じゃあまたな、と言って木山も藩邸の建物の中に入って行った。
残ったのは土方、藤堂、原田と十番組隊士。
そして土方に抱かれたままの千鶴だ。
「それじゃあ行くか」
「んじゃ俺らも帰るかな」
千鶴を抱えなおし出発しようとした土方をみて、隊士達に行くぞと合図を原田が出す。
と、
「あのさ、わりぃ。俺も先に屯所に戻る」
藤堂が申し訳なさそうにそう言った。
「へーしゅけくん?あ、どっか、いちゃいの?けがちたの??」
「ああ、違う違う。そんなんじゃないって。たださ、ほら俺、血が少しついてるし。このまま饅頭屋なんて行けねぇから」
だから先に帰ると、藤堂は笑った。
「へーしゅけくん」
「ごめんな千鶴、最後まで一緒にいられなくて。屯所で待ってるから。そういう訳だから土方さん」
「…分かった。平助、ご苦労だったな」
「おう」
「……んじゃ平助。お前さ十番組と一緒に戻れよ」
そう提案した原田が隊服である浅葱色の羽織を脱ぐ。
「左之さん?」
「1日に2度もって事はねぇとは思うけどさ、何かあった時には土方さんには千鶴を最優先してもらわなきゃなんねぇだろ?」
「了解。じゃあ屯所まで十番組を預かるよ」
脱いだ羽織を藤堂に渡し、更に額当ても外すとそれも渡した。
「いいよな、土方副長?」
「ったく…。だが、そうだな。今回はそれがいいだろう」
「しゅみましぇん、わたちのしぇいで」
「饅頭買いに行くんだろ?役得って奴さ。だから千鶴は気にすんな」
「左之さん、その槍も預かるよ。町の中歩くのには目立つだろ?」
「だな。結構重いぞ、大丈夫か平助?」
「軟弱者扱いするのやめてくれる?じゃあ、十番組の皆さんよろしく。三人も気をつけてな」
「へーしゅけくんも」
藤堂は原田から預かった十番組の隊士達と歩き出した。
「きおちゅけちぇね」
「お~う!…あ、千鶴~!」
「あ~い!」
「俺みたらし団子が食いてぇ」
「わかっちゃ。かっちぇくゆね~!」
千鶴からの返事が届くと身体ごと振り返り、大きく手を振るとその身を翻す様にして行ってしまった。
「ひじかたしゃん」
「何だ?」
「かちゅやしゃんっちぇおまんじゅうやしゃんおだんごもあいましゅかねぇ?」
「あるんじゃねぇの?」
「行ってみりゃいいさ。なければもう一軒寄って行こうぜ」
「あい」
土方達が歩き出し、藩邸の前はいつも通りの静けさを取り戻した。
千鶴は歩くと言ったのだが土方が歩幅が違うから抱かれてろと下ろしてくれない。
歩幅も確かに違うが、きっとさっきの足首の事を気にしてくれているのだろうと思うと千鶴は嬉しくなる。
「ひじかたしゃん」
「どうした」
「あち、へいきでしゅよ」
「そうか」
「きょおはひじかたしゃんにいっぱいだっこちてもやってましゅね」
「ま、小せぇのとちまちま歩く時間が勿体ねぇからな」
「しゅ、しゅみましぇん」
「馬鹿。土方さんの冗談を真に受けるなよ千鶴」
じょおだん?と千鶴が土方を見上げると笑いを堪えた土方と目が合った。
「でもよ、傍から見ると俺達の関係ってどう見えるんだろうな?」
ふと思いついたように原田がいう。
(私達の関係?土方さんと原田さんと私?)
「どうもこうも男二人に子供一人だろ?」
「成人男性二人に幼い娘一人って何か違和感ねぇ?」
「いわかん?」
よく分からないと言う風に千鶴が首を傾げる。
だが、男二人は何か思い当たったらしく。
ものすごく嫌そうに顔を顰めた。
見目のよい男二人。
一人は中々に体つきも良く背も高い。
一人はすらりとした身体に女性も羨む様な漆黒の長い髪、しかも役者並みの美貌。
その腕に抱かれた幼い少女は、これまた大変愛らしいと来た。
こういう様子を見て何故だか騒ぎ出す女性が多い。
勝手に色々創造、否、想像までしてくれる。
「土方さん…俺は衆道の気はねぇから」
「んな事、真面目に言うなっ!」
「だってよう」
「俺にだってさらさらねぇよっ、んなもんっっ!」
噛み付くような勢いの土方に、千鶴は更に首を傾げる。
男二人は何だかよく分かっている言葉の様だが、千鶴には聴きなれない言葉があった。
「しゅうどお?」
不思議に思って口に出す、と。
とてつもない勢いで土方と原田が千鶴に視線を向けた。
「「知らなくていいっっ!」」
二人のあまりの迫力に、
「あ、あい」
千鶴はただ頷く事しかできなかった。
続く…