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久々のオールです。
永倉さんが不憫です…。
賑やかな土千書く予定が、あれ?

今日は母の実家に里帰りしてきました。
『不知火』と言う町を暫く進むと『原田』という床屋さんの看板を見つけ、さらに進むと『鬼』の字が付く地名の町を抜けました。
今まではなんとも思わなかったのに、こうもこの文字達に反応する自分…。
間違ってはいないと信じてます!

妹には呆れられましたが…。

薄桜鬼ってすごい。
(へんな感心の仕方だ…)


小説は右下からどうぞ~!



 

 


 原田に抱っこされたまま境内に入ると、そこには朝稽古の熱気で満ちていた。
 キンとした早朝の空気が、隊士達の声で震えている。
 稽古中の境内がこんなに雰囲気の違うものになるのだと知らなかった千鶴は、思わず原田の着物を握り締める。

「大丈夫だ、千鶴」

 それに気が付いた原田は優しく背中を叩いてやった。

「これは稽古。ま、稽古って言っても皆真剣に取り組んでるし、殺気に近いものを感じるのかもしれねぇけどな」
「ちょっと、びっくりちまちた…」
「稽古で手を抜けば実戦では通用しないからな。通用しなけりゃそこにあるのは死のみだ」

 原田の言葉にこくりと生唾を飲み込む千鶴。
 そうだ。
 ここは新選組。
 世間からは人切集団といわれる者達が住まう場所なのだ。
 不逞浪士と戦って、いつも勝つとは限らない。
 今日ここから出て行って、二度と戻らぬ隊士だっているかもしれない。

「ここは、来ねぇ方が良かったかな」

 その言葉に原田を見れば申し訳なさそうな顔で笑っている彼がいた。

「いいえ。みなしゃんがこうちてがんばってゆおしゅがたをはいけんできて…よかっちゃとおもいましゅ」

 千鶴はそう言って微笑んだ。
 彼女の笑顔にそうか、と原田も苦笑した。
 その二人の姿を周りで見ていた他の隊士達が俄かにざわつき始める。
 新選組の幹部である十番組組長が、可愛らしい幼女を連れてやって来ればそれはもう目を引く。
 目立ち過ぎる。
 そのざわつきで、隊士達の中心で声を張り上げ、彼らを指導していた永倉がこちらに気が付いた。

「お?おお!左之じゃねぇか!んだよ、来てんなら声かけろよな!」

 永倉はそう言って片手を挙げる。

「おはよ、新八。早朝だってのに相変わらず無駄に元気だなお前」
「無駄って何だよ無駄って。いいか毎日の鍛錬がこの肉体美をだな」
「はいはい」
「適当にあしらうなっ」
「ほら、あんまり元気だから千鶴がびびってるぜ」

 なぁ、と突然自分に話を振られ、千鶴はきょとんとする。

「え、えっちょ…おあよぉごじゃいましゅ、ながくやしゃん」
「…お、おお」
「何だよ新八。昨日近藤さんに紹介されただろ?一晩寝たらもう忘れたのか?」

 頭ん中まで筋肉とか言うなよ、と少しおどけた様に原田が言う。
 もちろんわざとだ。
 小さい千鶴が近藤さんの知り合いの子だという印象を平隊士達に付ける為だ。
 …が、

「べ…別に忘れちゃいねぇぜ?」

 永倉がそう言った声は確かに上擦っている。

(新八…忘れてたな)
(忘れてたんですね…永倉さん)
 
 原田と千鶴が同時に小さく息を吐く。

「本当だって、近藤さんの連れ子」
「ちっげーよ!」
「ちやいましゅっ!」
「斬られたいの?新八さん」

 溜め息を吐くのも同時なら永倉の言葉を遮り否定するのもほぼ同時だった。
 そしてもうひとつの声も。

「ん?」
「総司、早ぇ~な!…つか、別に斬られたくなんかねぇって。物騒だな」
「物騒?どこが。新八さんが馬鹿なことを言うからでしょ」

 境内へいつの間にか入ってきていた沖田がそこにいた。
 朝稽古の熱気が満ちていた境内が何故だろう、瞬く間に極寒の地に成り変った気がする。
 一番組組長から放たれる明らかな殺気に、平隊士達は息を呑み固まってしまった。

「どんな勘違いだか知らないけど、言うに事欠いて近藤さんの連れ子?近藤さんは離縁なんてしてないし。それってつまり近藤さんに対する侮辱だよね?って事は僕に斬り殺されたいって願望でしょ?」
「そ…そぉ~じ君?」
「知らなかったなぁ、新八さんがそんなに死にたがってたなんて」
「ま、待て待て待て」
「新八さんの願いだってことは私闘にはならないよね」
「そ、そそっ総司こら待てっ!目が本気だお前っっ!!」
「私闘じゃないって事は、隊規に背く訳じゃないから僕は近藤さんに怒られる事はないよね」

 沖田が刀の柄に手を掛け、かちりと鯉口を切った。

「俺が悪かったっ!間違ったっ!!、失言だったっっ!!!」

 これは不味いと感じた永倉は両手を頭の上で合わせとにかく謝った。
 こんな所で斬り合いなんぞやれるはずがない。
 だが、やれないと分かっていてもそれを蹴散らして刀を抜くのが沖田だ。
 このままでは本気でやりかねない。

「ったく、近藤さんを侮辱するなら斬っちゃうよ?」

 気を付けてよね?沖田はそう言ってやっと柄から手を離す。
 意地の悪い笑顔を浮かべて沖田が永倉に告げる。

「総司の冗談は本気で怖いんだよ!」
「冗談?それこそ冗談でしょ?」
「総司…」
「冗談なんかで仲間を手に掛けられるはずがないよ」
「はい、申し訳ございませんでした!」

 これ以上は本気でヤバイ。
 永倉の本能がもうやめろと叫んでいる。
 なので、永倉は素直に頭を下げた。

「分かってもらえて嬉しいよ、新八さん」
「終わったか?」

 原田がやっとで口を挟む。

「うん」
「そうかよ。で?総司は何しに来たんだ?」
「山崎君にさ千鶴ちゃんがもう起きて左之さんと境内に行ったって聞いたから」
「わたちをおしゃがちなんでしゅか?」
「ん、探してた」

 刀を納めた沖田は足早に原田と千鶴の側にやってくる。
 その後ろでは永倉がぐったりと項垂れていた。

「おはよう、千鶴ちゃん」
「おあよぉごじゃいます、おきたしゃん」
「左之さん、千鶴ちゃん下ろしてくれる?」
「うん?ああ、分かった」

 ほら下ろすぞと一声千鶴にかけて、原田は彼女を境内の石畳の上に下ろした。

「まず、後ろ向いて。帯を可愛く直してあげる。これ、山崎君に頼まれた事だから」

 山崎の名が出てきた事で千鶴は素直に従う。
 きっと『簡単な結び方』で結んだ千鶴の帯の事を気にかけてくれていたのだろう。
 沖田は慣れた手つきで千鶴の帯を結び上げた。

「ほぉ~上手いもんだな総司」

 思わず原田が感心した声を上げた。
 
「子供達と遊んでいると必然的に覚えちゃうんだ」
「なぁるほど」
「それから、はいこれ」

 総司は懐から一本の簪を取り出す。
 可愛いでしょ、と目の前に出されたそれは小さな白い花が彫られた簪。
 それが動くと、ちりりんと音がした。
 簪には赤い結紐が結んであり、その紐のそれぞれの先に小さな鈴が付いていた。

「昨日平助君が出て行った後、僕も出たんだよ。その時買ってたんだ」

 そう言いながら総司は千鶴の髪を器用にまとめ、簪でそれを留めた。

「じゃあ千鶴ちゃん」
「あい」
「新八さんのとこまで歩いて行って」
「え?」
「良いから」

 背中をそっと押された千鶴は不思議に思いつつも永倉の下まで歩いていった。
 歩く度に、ちりん…ちりりん…と鈴が鳴る。

「良いみたいだね」
「猫に鈴…か」
「可愛いでしょ?鈴は僕が付けたんだ」
「つまり迷子防止…?」
「っそ」
「な~る。これならどこにいるか分かるな」

 小さな声でやり取りをしていた原田・沖田の両名の声は千鶴には届かない。
 まさか迷子防止の鈴だとは思わない彼女は、永倉の前に小さく飛び跳ねてみたり頭を振ったりして鈴を鳴らした。

「お、可愛いな千鶴ちゃん」
「ちりんっちぇいいましゅね!かあいいでしゅ」
「千鶴ちゃーん、こっちにおいで~」
「あーい!」

 沖田に呼ばれ今度は小走りで彼の元へ戻る。
 もちろんちりりん、ちりりんと音を鳴らして。

「おきたしゃん、あいがちょおごじゃいましゅ!」

 どういたしまして、と微笑みながら沖田は千鶴を抱き上げた。

「もうすぐ朝餉だよって呼びに来たんだ。新八さん達も稽古上がった方が良いよ。じゃあ先に行くね」
「ひといであゆけましゅよ?」
「やだね。僕が抱っこしたいの」

 沖田に抱っこされたまま境内を出て屯所へと向かう。

「新八…大丈夫か?」
「左之ぉ…お前見捨てたな?」
「総司を怒らせたくねぇもんよ。つか、自業自得だろうが」
「ひでぇ…」
「ほらそれより飯だとよ。さっさと片付け始めたほうがいいんじゃねぇの?」
「そうするか。よっし、朝稽古これまで!片付けは頼んだぜぇ~」

 永倉の声に境内にいた隊士達が、ありがとうございましたっと頭を下げた。
 
「ちょっと汗を流してくるかな」
「んじゃ戻るか」
「おーよ」

 原田と永倉も沖田達を追うように屯所へと向かい寺の門を潜った。
 不運にも沖田の殺気を直に感じてしまった平隊士達は、やっとで溜まっていた肺の中の空気を一斉に吐き出したような気分になった。

 

 そしてやはり組長には逆らうべきではないと、再確認をした隊士達であった、とか。
 

 

続く… 

 

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