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遅くなりましたが。
50,000HITありがとうございます!
これからも精進いたします。

碧血録のDVD第一巻がサントラ【動乱の天】と共に届きました。

サントラ聞くだけでも泣けてきます…いろんな場面思い出して…。
DVDはまだ見ていませんが、オーディオコメンタリーが楽しみなんで早く見たいなぁと。

今月は更新が特に遅くて申し訳ないですが、もう少しでオフの仕事が一段落つきますのでやっと小説を書くのに時間が取れそうです。
コメント等へのお返事も追ってさせて頂きます。

では、不思議な千鶴ちゃん9話です。
…あまり進展してませんし、オリキャラさんも登場しております。
そんなお話を右下からどうぞ。
 

 

 


 背後にあった気配が鈴の音ともに遠ざかって行くのをその耳で確認しながら、手にした刀を振り下ろす。

「千鶴、大分離れたな」

 藤堂が目の前にいた浪士を地面に切り伏せ、沖田を振り返った。

「みたいだね。…我儘言わずにここを去ってくれたのは助かったよ。後で沢山褒めてあげなくちゃ、ねっ」

 呑気に会話を交わしているが、決して手を抜いているわけではない。
 浪士の数は会津藩邸の近くだというのに、よく見付からずに潜んでいられたものだと感心したくなるほどの人数だ。
 言葉を反せば藩士がどれだけなめられているんだという話ではあるのだが…。

「千鶴が藩邸に向かったんだから、土方さんもすぐに来るだろうし」
「それはそうだろうねぇ。…一番組、残しとくんだったなぁ」
「何でてめぇがここに居やがるって土方さんの雷が落ちるなきっと」

 戦いの最中だというのに、藤堂は笑みを浮かべながらそう言った。

「あのさぁ、平助君」
「何だよ総司」

 刀を交えていた敵を切り捨てた後。
 トンとお互いの背中を合わせ、自分達を囲む敵に血に飢えた狼のような視線を向けると刀を構え直す。

「僕をからかった事、後で後悔させてあげてもいいんだよ」
「べっ別にからかってなんかいねぇじゃんっ!」
「ふう~ん、そうかなぁ?」
「兎に角っ!今はこいつらをとっとと片付けようぜ」
「仕方ないなぁ。今回は見逃してあげるよ。今回は」
「二回言うなってーのっ」

 合わさっていた背中をお互いに押すと、それを反動にして前に飛び出した。
 刃同士がぶつかる音があたりに鳴り響く。
 先程まで微笑ましげにこちらを見ていたはずの視線も今はない。

「また斬り合いか…新選組だとよ」
「全く迷惑なもんだよ」

 遠巻きにしている野次馬達の声が聞こえてくる。
 だがそんな言葉はもう慣れている。
 きつい言葉を恨みがましく投げかけられたとしても、今更気にしたりはしない。
 自分達は。

「千鶴が離れてよかったぜ…」

 きっと彼女は自分には向けられていないその言葉にも傷つく。
 素直過ぎるんだよな、と溜息をもらし刃についた赤い雫を振り落とす。

「千鶴ちゃんが聡い娘で良かった」

 折角の可愛い着物姿がこんな奴らの血で汚れたりしたらもったいない。
 何よりも、そんな事になればきっと近藤が悲しむだろう。

「いつもだったら喜んで相手してあげるところなんだけどね」
「お前らさ来る時を間違ってんだよ」

 あの子が戻ってくる前に何としてもこの場を片付ける。
 何人目か分からない敵を斬り伏し、二人は鋭い眼光を敵に向け更に地を蹴った。

 

 

 二人の元から走って離れた千鶴は後もう少しで藩邸の門という所まで来ていた。
 小さな歩幅ではそんなに離れていない場所ですら、ものすごく遠く感じる。
 
「ひじ…かたしゃんに」

 伝えなきゃという思いで頑張って走る。
 最近は男装にも慣れてきていた所為もあって、女の子の着物では更に走り難く感じる。
 
「ふぅっ…はぁっはぁ…」

 後もう数歩で藩邸の前に辿り着こうとしていた時。

「ふ…ぅきゃあっ」

 足がもつれてその場で思い切りこけてしまった。
 手から放れた鞠がころころと転がっていく。
 すぐに立ち上がろうとしたが、掌と右の足首に痛みを感じて地面に座り込むところまでしか起き上がれなかった。

「お譲ちゃん大丈夫かい?」

 声を掛けてきたのは藩邸の前に立っていた門番だろう。
 慌てて駆け寄ってきてくれたのが足音で分かった。

「怪我はないかい?立てるか……ん?」 

 千鶴はその門番の胸元の着物をぐっと掴み必死に言葉を紡ごうとしたが息が切れてままならない。

「っいじ…かっ…しゃんにっ」
「ほら、落ち着いてごらん。息を整えて」
「ひじっかたしゃんっ」
「ひじかた…新選組の土方副長殿か?」

 先程門を潜って行ったばかりなので、記憶に新しかったその人物の名を彼が口にすれば千鶴は勢い良く首を何度も縦に振った。

「あっち、ろぉちっおきちゃしゃっへーしゅけくっ」
「あっち?」

 千鶴の指さす方を見るが、何も変わったことは無い様に見える。
 
(どうしようっ、言葉がうまく出てこない…息を整えなきゃ)

 困った様に千鶴を見下ろしてくる門番が口を開きかけると、別の所から言葉が発せられた。

「どうした?」

 その声は千鶴が期待した声ではない。
 顔を上げると仕事から戻ったのだろう藩士と思われる男が立っていた。

「その子供はどうした?」
「これは木山殿、お帰りなさいませ」
「ああ。で?」
「いえそれが、土方殿に用があるようなのですが」
「土方に?来てんのかあいつ」
「先程」
「……それは聞こえてくる剣戟の響きと関係あんのかな?」
「!」

 千鶴は驚いたように目を見開き、膝を屈めて来た男を見上げると瞳を涙で滲ませながらこくりと頷いた。

「剣戟?」
「ぼさっとしてんな。何人かつれて早く行けっ!」
「はっ」

 門番の男は短く返事を返し中に呼び掛けると、数人の藩士と共に沖田達のいる方向へ走って行った。

「お嬢ちゃんは知らせに来てくれたんだな。えらいぞ。けど、土方とはどういう関係だ?娘がいるなんて聞いたことねぇけど」
「わた、ちは」
「木山さん?あんたそんなところに座り込んで何して…お前」
「ひじかたしゃん!」
「何でここに?平助は…!?」

 藩邸から出てきた土方が、千鶴達を置いてきた方向に厳しい視線を向ける。

「浪士か?」
「あいっ」
「平助一人なのか?」
「おきたしゃんもいやっしゃいましゅっ」

 やっと息が整い言葉を紡げるようになった千鶴が告げる。

「総司が?」
「うちの藩士も数人やったから、心配いらねぇと思うぞ」
「そうか」

 向けていた視線の先をもう一度睨みつけた後、土方は座り込んだままの千鶴の前に膝をついた。

「転んだのか?怪我は」
「だいじょおぶでしゅ」

 千鶴はそう言って掌を見せる。
 小さい砂利が掌にくっ付いてはいたが擦り傷などな見られない。

「他は?」
「いちゃくないでしゅ」
「……痛く、ねぇ?」
「………あ」
「どっか痛めてんだな。どこだ」

 土方には誤魔化しは効かない。
 ちょっとした言葉の違いですら見逃してくれなかった。
 千鶴は右の足首を触る。

「…………ここでしゅ」
「捻ったのか」
「もぉだいじょおぶでしゅから」

 先程までは確かに痛みを感じてはいたが、自分の特異体質のおかげで今は本当に痛みはない。
 千鶴は差し出された土方の手を借りて立ち上がった。

「ほや、へいきでしゅ。だかや、はやくへーしゅけくんたちのもちょにいっちぇくやしゃい」
「…木山さん」
「俺は頭脳派なの。肉体労働反対」
「ったく、そういう人だよあんたは…千鶴を頼む」
「へぇ千鶴ちゃんっていうのか」
「千鶴、まだ浪士がいるかもしれねぇからな。お前はここにいろ」
「あい」
「この人は口は悪いが剣の腕は信頼できる、安心していい」
「土方には言われたくねぇな」

 木山の言葉を気にも留めず、土方は千鶴の頭を撫でた。

「迎えに来るまで大人しくしてろよ」

 そう言うと走り出していってしまった。

「千鶴ちゃんは」
「ひゃあ!」

 土方の背中を見送っていた千鶴の身体がいきなり宙に浮く。
 今日だけでこの体験をしたのは何度目だろうか。

「土方のお姫様みてぇだな」
「ふぇ?」
「あの土方が笑ってたぜ?…で、千鶴ちゃんは土方の何なのかな?」
「えっちょ…とおしゃまじゃないでしゅよ?」
「ぶはっ」
「!?」
「ぶっくっくっく、あはっははっっ」
「…えっちょ」
「わ、悪い悪い。そうか土方の娘じゃないんだな」
「あ…あい」

 千鶴を抱き上げたままの木山はそれでもなお面白そうに笑い続けている。
 何か笑われるような事を言っただろうかと、千鶴が首を傾げた。

「素直で利口で可愛くて、土方が構いたくなるのも頷ける」
「……?」

 とても楽しそうな木山を千鶴はじっと見上げる。

(土方さん、この方には大分気を許していらっしゃるようだったけど…)

 どんな関係なんだろうと考えていると、

「木山さんか?」

 聞きなれた声が背後から聞こえてきた。

「ん?」

 彼が身体ごと振り返れば、千鶴も自然とそちらを向く形になる。
 そこにいた人物足元にあった赤い物を拾い上げながら視線をこちらに寄越していた。

「あれ?」
「はやだしゃん」
「千鶴か?」
「あい」

 隊服を着た原田と、同じく隊服を着ている十番組の隊士達がそこにいた。

 

 

続く… 


 

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