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さて、GW突入です!
という訳でまずは夫婦騒動録の続きから。
で、またやってます。

題して!
雰囲気で流してね『嘘京言葉編』です(汗)

暫くは土方さんと千鶴、そしてオリキャラさん達ばかりになります。
土千らしくなってきたかな?(笑)


そういえば、私PSPの遊戯録を売ってDSの遊戯録を購入しました!
追加コンテンツの『歌留多』は地味ですが、あれハマります。
山南さんが対戦相手だと、色んな意味で恐ろしい…。
山崎君も意外と手加減しやがらねぇ…。
山山コンビめっっ!!
ちょっとお薦めです(苦笑)

では小説は右下からどうぞ。

 

 


 土方に着物姿を沢山褒めてもらった後、二人して広間へと向かう。
 そこには既に朝餉の膳が準備してあって、二人の他の幹部達は席に座っていた。

「あ…お赤飯」

 膳の上に並べてあったのは白飯ではなく小豆の入った赤飯だった。

「井上さん、近藤さんの頼まれ事って、この事だったんですか?」

 千鶴の問いかけに井上が笑顔で頷いた。

「お祝いだからね」
「さあ二人とも座りなさい」

 近藤に促され、土方はいつもの場所へ。
 千鶴も今朝は上座の方へと進められ、恐縮しながらも近藤等の笑顔に負けて夫の隣りに座った。

「さて、では簡易ではあるが二人の門出を祝して」

 近藤の言葉に全員が盃を手にする。

「乾杯っ」

 彼の音頭と共に皆が盃を高く上げ、

「「「「「乾杯っっ!」」」」」

 声を揃えて二人を祝福し盃を満たしていた酒を一気に呷った。

「朝から酒とは…」

 そう呟きつつも土方も酒を呷る。
 喉を通るその酒は喉越しも滑らかで良い酒だと分かる。
 近藤の取って置きの酒の様だ。
 普段酒を呑まない(呑めないのではないらしい…)土方も美味いと思う。

(ま、これくれぇなら酔いはしねぇか)

 そう思いつつ盃を膳に戻そうとした時。

「けほっ」

 土方の隣りで千鶴が咽て咳き込んだ。

「おい、大丈夫か?」
「お酒…初めてで。喉が焼けるみたいに熱いです」

 片手に盃を持ち、もう片手は口元に当てた千鶴が土方を見上げてきた。
 盃を満たしていた酒は半分ほど減っている。
 生まれて初めて喉を通した酒は、彼女にはきつ過ぎた様だ。

「少し強めの酒みてぇだからな、全部呑む必要はねぇ。ほら、こっちに寄越せ」

 千鶴の手元から盃を取ると残りの酒は土方が飲み干した。

「あ…」
「俺とお前の祝いの酒だ。お前が残した分は俺が呑みゃ問題ねぇだろ」 
「………ありがとうございます…歳三さん」

 土方の優しさに千鶴が笑顔で礼を言う。
 そんな千鶴に土方も笑顔を向ける。
 朝から仲睦まじい事この上ない。

(なんつーか…あれだな)
(土方さん…酒に酔わねぇで千鶴に酔ってるって感じだよなぁ…)
(俺も可愛い嫁さんが欲しいぜっ)
(土方さんの幸せそうな顔って…ムカつくなぁ)
(む?何故胸が急くのだ?…後で石田散薬を服用すべきか?)

 仲の良い新婚そのものの二人の様子に、周りの男達は揃って溜め息を吐いた。
 若くて可愛くて器量も良ければ気立ても良い。
 そんな男達が理想とする娘を娶る事が出来た男が正直恨めしい。
 (約一名自覚なし)

「トシ」
「なんだよ近藤さん」
「今日は朝餉を終えたらすぐ屯所を出るのか?」
「ああ、そのつもりだけどよ。なんか用事があるのか?」
「否、お前も久しぶりの休暇なのだしゆっくりとしてくるといいと思ってな」
「ありがとよ。そうさせてもらう」
「千鶴君もトシとのんびりしておいで」
「ありがとうございます、近藤さん」

 どんなに恨めしくともどんなに羨ましくとも、この場では口にしない。
 この二人の婚姻を誰であろう組織の長である近藤が心から喜んでいるのだから。
 それを思うと、ただただ溜め息しか出てこなかった。


 そんな朝餉を終えた二人は屯所の玄関に並んで立っていた。
 興味深げにこちらを窺う平隊士達の視線を感じながらも近藤等に見送られて屯所を出立する。

「こうやって…女の姿で土方さ…歳三さんと京の町を歩けるなんて思ってもみませんでした」

 屯所から少し離れた場所で千鶴が嬉しそうにそう言った。

「そりゃ俺もだ。俺としては嫁を娶るって事自体考えた事がなかったからな」
「…えと…あ、今日はまず泉屋さんに伺うんですよね?」
「ん~?ちっと先に寄りたい所があってよ。まずはそこからだ」
「どちらですか?」
「付いて来りゃわかるさ。ほらこっちに曲がるぞ」
「はい」

 土方の少し後ろから付いて行く。
 それは初めての事ではないのに、何だかとても嬉しい。
 いつもは土方の速さに小走りで千鶴が付いていくのに今日は千鶴の歩く速さに土方が合わせてくれている。
 そんな些細な事にも幸せを感じてしまう。

「まずはここだ」

 土方がそう言って立ち止まったのは呉服屋。
 新選組の隊服を発注している菱屋だった。

「呉服屋さん…ですか?」
「言ってたろ?お前に着物を贈るって」
「え?」
「良いの選んで仕立てよう。おら入るぞ」
「…は、はい」

 菱屋の暖簾を潜り中に入っていく土方に千鶴が慌てて付いて行く。
 店の中には沢山の着物や小物類が並べてある。
 奥の棚には色取り取りの反物もなおされていた。

「……うわぁ」

 その壮観さに思わず声が漏れた時、店の奥から初老の男性が姿を見せた。

「おいでやす。…これは土方はん、おひさしゅうおすなぁ」
「こいつに似合うのを仕立てたいんだが、反物をいくつか見せてもらえますか?」
「これはこれは、可愛らしい娘さんや」
「千鶴」
「はい」

 土方に呼ばれて千鶴は彼の隣に並ぶ。

「新選組の隊服でお世話になっている菱屋の御店主だ」

 そう紹介されると、千鶴は小さく息を吸った。

(お、落ち着いて…落ち着いて、私……よし)

 千鶴は顔を上げ、店主に向かいにっこりと微笑んだ。

「土方の家内の千鶴と申します」

(言った、言っちゃったよ私っ!ど、どうしよう家内って家内って言っちゃった!!)

「土方はん、奥方を娶りはったんどすか?」

 浅からぬ付き合いである菱屋の主人にとっては寝耳に水も良い話だ。

「ちいっと前に。組の状態を考えて、公にはしてなかったんですが」
「これは、何のお祝いもしませんと」
「お気になさらないで下さい。良い反物を見せて頂ければ十分です」
「少々お待ち下さい。いくつかお持ちしますさかい」
「お願いします」

 菱屋の店主は店の奥に戻っていく。
 店頭には出していない上物の反物を取りにいったのだろう。

「…家内、か」

 ぼそりと土方が口にする。

「む、胸がドキドキし過ぎて苦しいです。それを口に出来て嬉しいのと恥ずかしいのとごちゃ混ぜです…」
「そうだな。ここが外じゃねぇんならお前を思い切り抱きしめていたんだがよ」
「も、もう!何を仰ってるんですか!」
「何って」

 土方がニヤリと意地の悪い笑みを浮かべたとき、

「随分と仲がよろしおすな」

 行李を抱えた主人が小間使いと共に戻ってきた。

「反物お持ち致しましたえ」

 そう言って行李を下ろし蓋を開けると中にはいくつかの反物が整理されて入っていた。
 反物を1つずつ丁寧に外へ出し、二人の前に並べていく。
 それらは店頭に並べてある品とは格が違うのだと素人目でも分かる。

(うわぁ…た、高そう…)

 折角出してもらったがこれは流石に高価すぎるという視線を土方に向けた千鶴だが、土方は既にいつくかの反物を手にして眺めている。

「どうした千鶴、気に入った物があれば言えよ」

 これなんかどうだ、と淡い桃色の反物を広げて見せる。

(……ど、どうしよう…歳三さん乗り気だし…)

「お品はどれも一級品物ばかりどす。せやけど今回はお祝いとしてまけさせて頂きますよって奥方様も手にとって見ておくれやす」
「菱屋さん、そりゃ」
「ええんどす。これくらいさせて下さい」
「だってよ千鶴」
「でも…」
「あのな千鶴、俺にだって意地がある。惚れた女にゃ良いもん着せてやりてぇんだよ」
「そういうことやさかい、奥方様も」

 土方と菱屋の主人が二人して、反物を薦めて来る。
 これは断れる様子ではないようだ。
 ならば…。

「あの…お、奥方と呼ばれるのは…その…慣れていなくて…千鶴と、呼んで下さい」

 そう告げて菱屋の主人に視線を向ける。

「そやったら千鶴はんとお呼びさせてもろてもよろしおすか?」
「宜しくお願いします」

 ぺこりと頭を下げる千鶴を優しく見詰め、

「千鶴はんはお肌のお色が白うていはるさかいな、どんなお色も映えますなぁ」

 そう言いながら千鶴の背後に回り、手に持っていた紅を基調とした反物を彼女の肩からそっと広げて当てて見せた。
 
「どうどす?土方はん」
「悪かねぇな。似合ってるぞ千鶴」
「そうですか?綺麗な反物…」
「お気に召したんやったらこれで仕立てましょか?」
「どうだ千鶴?」
「他にも御希望のお色あらはるんやったらお探ししますよって」
「希望の色…あ、あの…でしたら…」

 千鶴は言いかけて土方の顔を見た。

「私…空の色の様な…お着物が…あればいいなと…」
「空の…色どすか?」
「……千鶴お前まさか浅葱色を言ってんじゃねぇだろうな?」
「浅葱色と申すと…隊服の様なと言う事でっしゃろか?」

 二人の問いかけに千鶴は頷いた。

「ったく。千鶴、浅葱っていうのはな」
「分かってます…分かっているつもりです。隊服にはどんな強い想いや覚悟が込められているのかとか、私には手の届かない色だということも」
「千鶴…」
「でも私にとって新選組の羽織の色は、浅葱色は頼もしくて大きくて…安心する色なんです。大好きな…色なんです」

 だから、と口篭った千鶴を見ていた菱屋の主人が、近くに控えていた小間使いを呼ぶ。

「七松や、今日届いとった反物の行李も持っておいで」
「まだ中身を確認されてへん行李の事でございましょうか?」
「そや。はよう持っておいで」
「へぇ」

 七松と呼ばれた小間使いの男が一度頭を下げて奥へと戻っていく。

「ちょおお待ち下さい。浅葱色やおへんけど、千鶴はんのお気に召すお色があるかもしれへんさかい」

 行李を手にした七松が間を空けず戻ってきた。
 その行李の中から菱屋の主人が反物を一つ取り出し土方と千鶴の前で広げて見せる。
 それは浅葱色より色がはっきりしている空色の反物で、小さな花が随所に散りばめられていた。

「如何でっしゃろ?浅葱色と比べるとお色は明るめになる物ですが、千鶴はんの御希望に沿わへんですか?」
「とても素敵なお品だと思います…綺麗…」

 千鶴は店主に差し出された反物に一目惚れした様で、瞳を輝かせてそれを見詰めていた。

「決まり見てぇだな。菱屋さん、それで仕立ててもらえますか?」

 土方の言葉に千鶴が顔を上げた。

「良いんですか!?」
「ああ。お前が気に入ったんならそれが良い」
「あ、ありがとうございます!」
「よう似おうてはります。数日頂きますが、急いで仕立てさせますさかい楽しみにお待ち下さいね」
「はい!宜しくお願い致します!」

 仕上がった後どこに連絡するのかとか、支払いの事等を土方達が話している横で、千鶴はその青い反物をそっと手に取った。

(隊服とは少し違うけど…)

 その色に思わず頬が緩み笑顔になる。

「皆さんとお揃いだ…」

 無意識に漏れた声に土方と菱屋の主人は顔を見合わせ、微笑んだ。


 

続く

 


 

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