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【和花】 なごみばなと読んで頂けると嬉しいです。 乙女ゲーム系二次小説オンリーサイトです。
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第2期アニメ始動、おめでとう!
と言う気持ちで、土千です。
オールで遊んでた分ちょっと気持ちを切り替えてみましたが、切り替わってないかも。
良いんです!

このサイトは千鶴至上主義!!ですので。
しかも土千がメインなのに小説少ないし…(汗)

土方さん、熱にぶっ倒れる話です。
看病話は書きたかった内容なので、書けてよかったです。
思ったよりも長くなりそうなので、前編・後編に分けました。



では、右下からどうぞ。

 

 

 

 季節は秋の終わり。
 それは、いつもと変わらない昼下がりだった。

「土方さん、お茶をお持ちしました」

 土方の部屋の前で、千鶴が入室の許可を待つ。
 しかし、中から返事が返ってこない。

「土方さん?千鶴です。お茶をお持ちしましたけど…」

 再度呼びかけても返事がない。
 数日前から、土方は文机の前から動けないでいた。
 会津藩や所司代から送られてきた山の様な書類。
 その殆どが局長である近藤と副長土方の認可、裁可待ちの物であった。

 『ったく、こんなの自分達で処理しやがれってんだ』

 昨日、土方がお茶を運んできた千鶴の前で漏らした言葉。
 自分達よりも立場が上の者達からの嫌がらせとしか思えない。
 実際、ここのところの新選組の働きは目覚しく、お上の知る所ともなった。

 『それが面白くねぇんだろーな』

 溜め息交じりの言葉に、珍しく疲れが混ざって見えた。
 休んで下さいと言ったとして、彼がそうそう頷くはずもない。
 自分には仕事を変われる知識もないし、その様な立場でもない。
 分かっている。
 分かっているからこそ、歯痒い。
 疲れが溜まってきている。
 それは土方だけではなく、同じように文机の前から動けない近藤や山南にも言える事だった。
 
 おかげで、沖田と斎藤の機嫌がすこぶる悪い。

 (昨日の夜だって…)

 昨日の夕刻。
 夕餉を前に、所司代からの突然の呼び出し。
 江戸からお偉い方が来ているらしく挨拶に来いとの内容だった。
 溜め息を吐きつつも、近藤と山南そして土方が夕餉も食べずに屯所を出て行った。
 
 『むかつくなぁ。ねぇ一君、僕と一緒に殴りこみに行かない?』
 『嫌がらせにも程があるな』

 不穏な空気をはらんだ沖田の言葉。
 何時もだったら、斎藤は呆れたように否定し沖田を諫めた筈だ。
 それが昨日は斉藤も沖田に賛同しかけているようで、流石に慌てた原田達が彼らを宥めたのだが。
 
(私だって、堪忍袋の緒が今にも切れそう)

 同じ京を守るものとして、どうしてこの様な真似が出来るのだろうか、と。

「誇りはないのかしら」

 思わず気持ちが口に出る。
 そこではっと我に返った。
 土方の返事を待っていたのに、いつの間にか考え込んでいた。

「…少し開けますよ?」

 あまりにも返事がないので、部屋にいないのだろうかと思い障子戸を少し開けて中を伺い見た。
 視線の先に、土方の背中が見えた。

「いらっしゃったんですね。近藤さんに頼まれたんです。お茶は如何ですか?」 

 返事がない。
 集中しているのだろうか?
 でも流石にこれだけ呼びかけて返事がないのはおかしい。

「土方さん、入ります」

 障子戸を開けて千鶴は中に入る。
 戸を閉めて側に近付くと、左手を額に当て肘は文机に付いたまま目を閉じていた。
 右手には筆が持たれたままだ。
 眠っているのだろうか?

「土方…さん?」

 側で声をかけるとピクリと彼が動いた。

「ん…」
「土方さん、千鶴です」
「ちづ…ああ、なんだ?」
「お茶をお持ちしたんです。近藤さんに淹れて欲しいと頼まれて、山南さんと土方さんにも頼むと」
「そう、か」
「あの、その体勢で眠られるのでしたら、少し横になられた方が良いです」

 筆も止まってます、と言えばやっと土方が顔をこちらに向けた。

「土方さん」
「…んだよ?」
「酷い顔ですよ!」
「ひでぇって、どういう意味だ」

 むっとした言い方だが覇気が全くない。

「そのままの意味です!お願いです、横になって下さいっ!」
「これを仕上げねぇといけねぇから、無理だ」
「無理じゃありませんっ!そんな状態でお仕事されたって効率が悪いです。現に筆は止まってました。少しお休みになってそれからまた始められた方が絶対に良いはずです!!」

 千鶴はお盆を端に寄せ、立ち上がる。

「床を用意致しますから、眠って下さい」
「だから、無理だと言って…る…」
「土方さん?」

 千鶴を止めようと土方も立ち上がりかけたのだが、足に力が入らない。
 ふらついた所を慌てて膝を付いた千鶴に支えられた。

「んだ…これ…目が霞みやが……る」
「えっ!?ひっっ土方さん?」
「わ…る………」
「うわぁ、えっっうそっ!?」

 突然千鶴の小さな身体に土方の全体重が圧し掛かる。
 当然彼女に支えきれるものではなくて。
 そのまま畳に押し倒される格好で崩れ落ちた。

「っっ…いっったぁ…」
「………」
「ひ…土方さん?……土方さんっっ!!」

 圧し掛かられた状態の千鶴は慌てて土方の肩を叩く。

「ちょ、おもっっ。あのっ、ひじっ土方さん?」

 千鶴の頬には土方の頬をくっついている。
 軽い恐慌状態の千鶴は慌て始める。

「ひっひ…土方さぁ~ん」

 押しても押しても彼の身体は動かない。
 重いし段々苦しくなってきた。
 くっ付いている頬もものすごく熱い。

「……熱い?」

 千鶴は我に返り何とか動かした右手で土方の額に触れた。
 そこはしっとりと汗ばんでいる。

「ひどい、すごい熱!」

 早くちゃんと寝かさなくては、とは思うのだがどうもこうも動けない。
 助けを呼ぶしかなさそうだが近藤と山南の部屋はここから少し離れている。
 原田と永倉は確か道場だ。
 藤堂と井上は食事当番だから先程お茶を淹れに行った際に、勝手場にいた。
 沖田と斎藤は巡察だ。

「あ…れ?誰もいない?」

 何れは誰かがこの部屋を訪ねて来るだろう。
 でもそれまでこの体勢は正直苦しい。

「……仕方、ない」

 千鶴は大きく息を吸い、

「誰かぁっ!誰かいませんかぁっっ!」

 声を張り上げて叫んだ。
 耳元で叫ばれても土方は一向に目を覚ます気配はない。
 高熱で意識がないようだ。

 早く、早く誰か来て。

 泣きそうになりながら必死に叫ぶ。
 何度目か、息を吸い込んだその時。

「……僕、お邪魔した?」

 障子戸がいきなり開け放たれて、巡察に出ていた沖田がそう言った。

「お…きた…さん?」

 苦しくて、熱くて、叫びすぎて、千鶴の息も絶え絶えだ。
 仰向けの状態で沖田を必死に見上げる。

「こんな明るい時間から女の子を押し倒すなんて、土方さんも意外と大胆だよね」
「じょ…だん…言ってないで、土方さん、を…助けて…下さい」
「土方さんを助けるって…どうしたの?」
「何をしている、総司……ゆっ雪村?」
「さ…とぉさ…ん」

 どうやら巡察に出ていた組が戻ってきたようだ。
 共に土方の部屋に報告に来たらしい斎藤が、部屋の中の状態に固まっている。

「も…もう!お二人とも、…土方さん…を」
「仕方ないなぁ。土方さん、何やってって、あっつ!」

 沖田が土方を起こし、斎藤が千鶴を助け出した。

「ありがとうございます。土方さん酷い熱で、倒れられちゃったんですけど」

 潰されちゃって身動きが取れなかったと、千鶴は説明する。

「沖田さんは土方さんをそのまま支えてあげてて下さい。私はお布団を用意します。斎藤さんは山崎さんを呼んできていただけますか?」
「雪村は、大丈夫なのか?」
「もう大丈夫です」
「では、了解した。局長にも伝えてこよう」
「お願いします」

 千鶴が立ち上がった事を確認すると、斎藤は部屋を出て行った。
 急いで布団を用意し、沖田が土方をそこに横たわらせた時、慌ててやって来た近藤が部屋に入って来る。

「トシは大丈夫なのか!?」
「近藤さん」
「おお、総司も帰っていたか」
「ええ。丁度報告しにここに来たら千鶴ちゃんが潰されててびっくりですよ」
「潰された?…雪村君は大丈夫なのか」
「私は平気です。土方さんは多分過労、です。熱がものすごく高いんです」
「無理を、させているのは分かっていたんだ…もっと早く休ませるべきだった」

 土方の側にどさっと座り込み、近藤が彼の額に手を当てる。
 その熱さに驚いた様で、顔をしかめた。

「近藤さん、私額を冷やす水を持ってきます。ここにいて頂いても宜しいですか?」
「ああ、もちろん。すまないが頼むよ」
「はい」

 千鶴が部屋を出るのと同時に、山崎と斎藤がやってくる。
 山崎は小さく頷くとそのまま部屋の中へ、斎藤は千鶴の下に留まった。
 
「どこかに行くのか?」
「桶にお水を汲んできます。後、手拭を取りに」
「手伝おう」
「ありがとうございます、斎藤さん」

 二人は足早に、その場から離れて行った。

 

 


後編へ続く

 

 

 

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