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【和花】 なごみばなと読んで頂けると嬉しいです。 乙女ゲーム系二次小説オンリーサイトです。
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やっとUP出来ました!
なんだかとてもお久しぶりです。

言い訳のようですが、オフの仕事が忙しくバテてました…(汗)
でも、アニメの13話を見てしまったら、EDを見てしまったら!

ひーじかーたさーーーんっ!!

テンションが上がっちゃいますね!
土方さんの洋装が美しすぎる!
その姿に頬を赤らめる千鶴が愛おし過ぎるっ!
さ、斎藤さんそれは反則です(涙)

しかしゲーム中ではデレるのがもっとも遅く、ルートも長く、甘い雰囲気にならないという土方さん。
EDではすでに千鶴に手を出しかけてるし(笑)

土千大好きな私としては幸せいっぱいです☆
でも沖田さんが段々薄幸な感じに…。
新八っつぁんと近藤さんの確執が…。
ああ、今後の展開がとても辛い。

でも。
楽しみです。


小説は右下からどうぞ。
 


 

 


 熱が高いのだろう。
 額に乗せた濡れた手拭もすぐに温くなってしまう。
 頬は赤く火照り、呼吸も荒い。

「こんなになるまで…気付けなかったなんて」

 小姓失格だな、と近くにある水の入った手桶に温くなった手拭を浸す。
 しっかり絞って、土方の額の上に戻した。
 倒れた後、一度だけ目を開いた。
 しかし意識は朦朧としており、会話もまともに出来ないまま土方は再び目を閉じた。
 その後は一度も目を覚ましていない。
 日はとうに暮れて、隊士達の夕餉も終わっている。
 先程まで千鶴も食事の為にここを離れていた。
 その間は山崎が土方についていたのだが。

「今夜一晩は、熱が続くかも…辛そう…」

 新選組に世話になるようになって、土方のこんな弱った姿を見ることなど一度もなかった。
 まぁ土方に限らず、殆どの隊士がそうなのだが…。 

「雪村、入るぞ」

 障子戸の向こうから声がする。

「はい、斎藤さん」

 返事をすれば障子戸が開かれ、名を呼んだその人が現れた。
 すっと身を滑り込ませるようにして斎藤が入ってくる。
 その手には桶が抱えられていた。

「替えの水だ。そろそろ温くなってきただろう」
「有難うございます」
「副長の容態はどうだ?」
「熱がまた上がったような気がします。とても苦しそうで…」

 そう言った千鶴の方が苦しそうだと斎藤は思う。

「夜は俺が副長の側にいよう。あんたは休め」
「いいえ。大丈夫です。私にさせて下さい」
「だが」
「父様の手伝いで患者さんのお世話をする事はよくありました。徹夜で看病する事も珍しくありません」

 だから平気ですよ?と千鶴が首を小さく傾げる様にして言った。

「土方さんがお元気になられたら休ませて頂きます。それに私は…土方さんの小姓です。お世話は私の仕事でもあるんです」
「全く…あんたも大概強情だな」
「…そうでしょうか?」
「自覚がない分手に負えん」
「斎藤さん…」

 千鶴が横目で睨み付けるが、斎藤には効果はない。
 それどころか微笑んでいたりする。
 小さく息を吐き、千鶴は改めて隣りに腰を下ろした斎藤を見上げた。

「何だ?」
「土方さんは……土方さんがこんな風に倒れたりするの」
「俺が知る限りは初めてだ」

 千鶴の言葉が終わる前に返事が返ってくる。

「何時も極限まで無理をされる。それが分かっていても我々ではお止めできない」
「強く言えばいくら土方さんでも聞いてくださるんじゃ」
「言う前に『副長命令』と付けて出ていけと言われれば、それまでだ」
「けど…」
「隊士にとって新選組で局長命令は絶対。副長命令も然り」
「でも…それでも…」
「それが組織と言うものだ。だからこそ、あんたが今は必要なのだと思う」

 斎藤の言葉に千鶴がきょとんとする。

 私が、必要?

 表情がそう物語っている。
 顔によく出る、と思いつつ斎藤は言葉を続ける。

「俺は隊士だ。組長と言う幹部の位を頂いている。だからこそ命令には逆らえない」
「…はい」
「だがあんたは新選組預かりであって、隊士ではない」
「それは、そうなんですが…」

 こんな小娘の言葉なんて土方さんはきっと聞いてくれませんよ、と千鶴が苦笑混じりに言えば、

「あんたが気付いていないだけで、副長は結構あんたに甘い」
「え…?」
「この屯所の中で誰が一番あんたの事を考え気遣っているかと問われれば、土方副長としか答えようがない、それ程にな」

 斎藤の言葉には思い当たる節が多々ある。
 なんだかんだといつも私の思いを汲んでくれている。
 自由がなかったあの頃とは雲泥の差だ。
 時間が空いた時は、仕事のついでだと言いながらも土方自身が千鶴を屯所から連れ出してくれた事も、幾度もあった。

「斎藤さん」
「…なんだ?」
「やっぱり、私が土方さんを看病します。どなたにも譲りません」

 千鶴の言葉にふっと思わず笑みがこぼれる。

「ならば、副長を頼む」
「はい」
「だが何かあればすぐに呼べ」
「はい」

 千鶴の迷いのない返事に小さく頷くと斎藤は立ち上がり、部屋から出て行った。
 ふぅ、と千鶴が息を吐く。
 目の前には苦しそうな土方がいる。
 意識が戻りある程度熱が下がったらきっと、彼は仕事を始めると言い出しかねない。
 いや、確実にその流れになる。

「もう少し、ご自分を大事にして頂けたらなぁ…」

 ポツリと桜色の唇から本音が漏れた時。

「……ん…」

 土方の唇が動き、瞳が薄っすらと開いた。

「土方さん?」

 千鶴がそっと声をかけると、土方が気だるそうな緩慢な動きで首を彼女の方に向ける。

「ち、づ…」
「はい」

 首を動かした所為で落ちてしまった額の上の手拭を広い、斎藤が持ってきてくれた新しい水にそれを浸す。
 しっかりと絞り、

「御気分はどうですか?」

 そう尋ねながら、冷えた手拭で額や首筋をそっと拭ってやる。

「俺…は…?」
「土方さん、過労で倒れられてしまったんですよ」
「…っさ…けねぇ…」
「そうですね」
「…?」

 自分の言った言葉に帰ってきた千鶴の言葉が、彼女から普段発せられるようなものでなかった事に驚く。

「情けないと思われるのでしたら、今後はもっと休憩と睡眠、食事を取ってください」

 そういう訳にもいかないと、目で訴えれば、

「無理をして倒れてしまえばその分のお仕事が溜まってしまうじゃないですか」
「………」
「目が覚めたのですから、少し水分を取って下さい」

 お盆の上に乗せていた湯飲みに白湯を注ぎ、

「首を起こしますね。気持ち悪いようでしたら止めますから」

 左腕を枕と土方の首の間に入れてゆっくりと起こす。
 多少辛そうだが、吐き気まではないようだ。

「熱が高いですから、脱水症状を起こしかねません」

 ゆっくりで良いですから飲んでください、と湯飲みを土方の口元に近付け、傾けた。
 からからに渇いていた口の中に白湯が流れ込み、ゆっくりと喉を通っていく。
 自分で飲むと言いたい所なのだが、こうして支えがなければ起き上がるのも億劫だ。

(鬼の副長が…聞いて呆れるぜ…)

 飲み干すと、千鶴はその体勢のまま湯飲みに白湯を継ぎ足し始める。 
 気付いているのだろうか、と土方は思う。
 頭を抱えられている所為で、お互いの顔の距離がありえないほどに近い。
 それに。
 頭を抱えている事自体にもちょっとした問題が。
 土方の片頬は千鶴のささやかではあるが女性特有の柔らかさを持った場所にずっと触れている。
 普通ならこんな状態になるはずが無いし、なりかけたとしても窘めてそこで仕舞いだ。
 しかし今は動く事すら出来ない。
 正に、なすがままである。

(柔らけぇ…女…なんだよなぁ…それに)

「千鶴…」
「はい。…白湯をまだ飲まれますか?」
「いや…」
「他に何かして欲しい事でも?」

 千鶴の問いかけに土方は小さく首を横に振る。

「お前ぇは…」
「?」

 千鶴は首を傾げながら、湯飲みをお盆に戻した。

「お天道さんの…匂いがするな」
「え…?」
「すげぇ、落ち着く…」

 土方の頭を抱きかかえる体勢のまま千鶴は固まる。
 何だろう。
 何でだろう。

(ひ、土方さんが、なんか可愛い)

 思わず頭をよしよしとしたくなる。
 何となく放し難くて、そのまま土方の様子を伺う。

「あ…眠られてる…」

 土方は千鶴の腕に頭を抱かれたまま再び眠りに落ちていた。
 呼吸はまだ荒い。
 熱が下がったわけではない。
 千鶴はゆっくりと土方の頭を枕に乗せ、腕を抜いた。
 目を閉じてしまった彼の顔を、千鶴はじっと見つめる。

「早く…治って下さいね」

 何となく手を伸ばし、土方の黒髪を撫でてみる。
 汗ばんで少ししっとりはしているが、触り心地はとても良い。
 一度撫でてしまうと引っ込みが付かなくなる。
 もう止めなきゃと思ったとき、

「……あ…ねき…」

 土方が小さく呟いた。

「姉貴?……お姉様と間違っていらっしゃるのかな?」

 ますます可愛いと思ってしまう。
 母性本能が擽られている。
 ある意味理性との戦いなのかもしれない…千鶴が。
 もう少し撫でたら止めよう、後もう少しで止めよう。
 何度もそう思いながらも、どんどん止められなくなってしまう。
 安心しきった土方が可愛い。

「…あ、こんなことしている場合じゃなかった…」

 暫くしてやっと我に返り、手拭を湿らせると、彼の額の上に置く。

(もう少し様子を見て、状態が落ち着いてきたらお粥を作りに行こうかな)

 早く良くなって欲しいと思いつつ、こんな土方を見ることが出来るならもう少しこのままでも…なんて考えてしまった自分の頬をぺちぺちと千鶴は叩きながらそう思った。 

 

 

 にこにこと土方の髪を撫でている千鶴の姿を、実は廊下側から見ている者がいた。

「雪村君は…気付いていない様だな」
「その様ですね」
「今入っていくのは無粋と言うものかな?」
「お邪魔するのは止めておきましょう、近藤さん」
「雪村君のような器量良しの女子がトシの嫁さんになってくれれば良いんだがなぁ」

 山南が静かに襖を閉めると、近藤は腕を組んだままうんうんと頷いている。

「さて、土方君がそれを素直に受け止めるかどうかは疑問ですけどね」
「雪村君も江戸の女。江戸の女と惚れた女には所詮男は敵わんものさ」

 二人は静かにその場を離れていった。

 

 ――3日後。
 
 土方の熱も下がり明日からは仕事に復帰できるほど回復した。

 しかし、千鶴に会う度にその腕に抱かれていた事を思い出し若干顔を赤らめながら明後日の方向を見やる土方と。
 ずっと土方の髪を撫でていた事を思い出し、やはり頬を赤らめて俯く千鶴。
 
 熱は下がったはずなのに、熱など無かったはずなのに。
 お互いの頬だけに、暫く熱が残っていた。

 


 もちろん。
 もれなく二人とも他の幹部達にからかわれる羽目になった。

 

 

終わり

 

 

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