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え~っと…十三支演義です。
特別ルートの夏候淵物語を私の良い様に書いてみました。
こうだったら良いのにな、の自己満足ですが。
夏候淵×関羽ではありません。
夏侯惇×関羽前提の夏候淵トッピングです(何だそれは…)
そんな訳で、カテゴリーも夏侯惇×関羽です。
今回はあまり出てきてませんが、夏侯惇が好きという方が多くて嬉しい~☆

薄桜鬼をお待ち下さっている方には申し訳ないのですが、取り敢えずここまでは書きたかったので一気に仕上げました。
次は薄桜鬼で不思議~を更新予定です。
もうちょっとお待ち下さいね。

では、物語は右下からどうぞ!

 

 


『もう少しお前もあいつと関わっていれば…』

 心から尊敬している…いや、していた兄者がそう言ったのはいつだったか。
 奇妙な縁で出会ってしまった兄者とあの女。
 兄者はずっと【あいつ】を、あいつ等を忌み嫌っていたはずだ。

 はず…だった。

『死を持って償え』

 幼い頃から側にいたオレに剣を振り翳したのは兄者で。
 兄者に斬られた後、オレは自分で谷底へと身を投じた。
 
 何が正しかったのか、とか
 何処ですれ違ったのか、とか

 色々考えたけど。
 決まって浮かぶのは兄者のいう【あいつ】の顔だった。
 初めは兄者とも仲が悪かったのに、気が付けばオレの視線の先に映るのは共に信頼し背を預けて戦う兄者と【あいつ】の姿。

 腹が立って、悔しくて
 辛くて、悲しくて

 ―――――サミシイ――………

 武人として心身共に鍛えなければいけないと小さな頃から兄者に散々言われて来たのに。
 結局どちらも未熟なままだったのだと…今更気付く。
 オレは成長できなかった。

 【あいつ】と関わって兄者は変わった。
 
 自分と違うものを受け入れるだなんて、考えもしなかった。
 でも…兄者はそれをした。
 だから、まるで呼吸をするかの様に、ごく自然に二人が共に並ぶ事が増えていった。
 動きも自然と重なって、兄者と【あいつ】は心まで重ねてしまった。

 オレの居場所が無くなった
 オレの居場所を奪われた

 オレノソンザイリユウハ…

 【あいつ】が憎い。
 どんなに画策を労じても【あいつ】は兄者の隣に帰ってきてしまう。
 気が付けばオレは兄者の怒りを買っていて。
 兄者に失望されていて…。

『終わりだ、夏候淵』

 あの日を迎えた。
 兄者が命を賭してオレに伝えたかったものってなんだろう。
 死の間際って、以外に色々考える余裕があるんだな…なんて思っていたら。

 

 

『……ん!おいっ夏候淵!?』

 怪訝な顔でオレを見る兄者が側にいた。
 頭がぼうっとして直ぐに返事が出来ないでいたオレに、兄者の顔が段々心配そうなものに変わる。

『ぼーっとしてどうしたんだ?今から黄巾族の残党を追うのだぞ。大丈夫なのか?』
『あに…じゃ?あ…れ…?左目…眼帯してない…?』
『何を言っているんだ夏候淵』
『……ここは…』

 そう言って辺りを見回すオレに向かい兄者は呆れたように息を吐く。
 本当に大丈夫か?とオレの事を案じながらも、黄巾族の残党狩りの為に今から山狩りをするのだと告げた。
 そうだ。
 この後山奥に集落を見つけて…【あいつ】との奇妙な縁が始まるんだ。

『時間が…戻ってる?オレは…ここからもう一度やり直すのか?』

 前方にいらっしゃる曹操様の側に進む兄者を見ながら呟く。
 【あいつ】と出会わなければ俺は死なずにすむし、兄者の側で一緒に戦える。
 だけど…兄者の言葉の意味を知りたい。
 【あいつ】と関わる事で…オレはどうなるんだろう…。

 山狩りが始まって、案の定オレ達は十三支の村を見付けて【あいつ】と兄者は出会ってしまった。
 一度生きた時間をもう一度生きていく。
 何の意味があるのか分からなくて、どうしてこんな事になっているのかも分からなくて。
 それでも先を知っているのだからと何とでも出来ると、高を括っていたのが悪かった。
 オレは先を知っていたにも拘らず曹操様に重傷を負わせ兄者の左目を護る事ができなかった。
 悔しくて不甲斐無くて…結局何も出来なくて一人で落ち込んでいると【あいつ】がやってきた。
 心配して探しに来てくれた【あいつ】を意図していなかったとはいえ冬の川に突き落としてしまうという酷い目に合わせてしまう。
 前の俺ならきっと…見捨てていた。
 けれど今度の俺はそれが出来なかった。
 気が付いたら川に飛び込んで【あいつ】を引き上げて…命を助ける為に必死に息を吹き込んだ。
 前はこんな事なかった。
 オレとこの女が個人的に関わる事は殆ど無かった。
 でも今度は…。

『変わってる…オレの生きた道が変わってるんだ…』

 息を吹き返したこいつを背負ってオレは曹操様の屋敷へと急ぐ。
 少しずつ温かさが戻ってくるのを背中で感じながら、以前言われた言葉を思い出していた。


『わたしがあなたを嫌っているんじゃなくて、あなたがわたしを嫌いなんでしょう?』


 オレはこいつが嫌いだった。
 でもこいつがオレを嫌いだなんて…言われた事はなかった。
 オレが勝手にそう思って勝手に勘違いをしていた。
 今までの先入観がオレの心に大きな壁を作っていたんだ。

『オレはきっとまだお前が嫌いだけど…でも…死んで欲しくないんだ…』

 それからまた色々な事があって。
 オレはオレ自身と対峙した。
 これはオレが決着を付けなければいけないこと。
 目の前の影はオレ自身だから、こいつを倒せば今度のオレも消えてしまう。
 誰かに聞いたわけでも無いのにそう確信が持てた。
 兄者の側にいられなくなる。
 でも…兄者に嫌われるわけじゃないんだ。
 オレが居なくなっても兄者には…兄者にはこいつが居る。

 だから大丈夫だ

 二度目の死を目前にして浮かんだのは恨み言でも謝罪の言葉でもなかった。

『ありがとう……』

 オレの言葉に驚いた顔が見えた。
 でも伝えたかったんだ。

 なあ兄者
 オレ分かったよ

 こいつに出会えて良かったって思うんだ。
 だから、心を込めて伝えたいんだ。

『ありがとう……関羽』

 見開かれた関羽の瞳から雫が頬を伝って落ちて来る。
 ああ、綺麗だな。
 俺の為に…泣いてくれるんだな。
 悲しませているのに、なんだか嬉しいと思ってしまうのはダメなのかな?

 関羽…猫族の…敬愛すべき種族の強く美しい少女。

 兄者を頼んだからな。

『あり…が………』

 今度の俺の死は…とても静かで穏やかなものだったと…思っていたら。

 

 

「……ん!夏候淵ってば!」

 偃月刀を振るい戦場を駆け抜けているとは思えない小さな手が身体を揺する。

「ん~…」
「ん~じゃなくてっ!もう起きなさいってば!」
「……か…んう?」
「やっとお目覚めかしら?朝の鍛錬する時間、なくなってしまうわよ」
「…関羽」
「何?」
「関羽?」
「だから何ってば」

 寝台の上でこの部屋の主である夏候淵が勢い良く起き上がる。

「関羽!?」
「………本当にどうしたの?」
「あれ…ここ、オレの部屋?」
「今日も早朝に鍛錬するから起こしに来いって言ったの貴方じゃない」
「朝…鍛錬…オレ…夢見てんのか?」

 へたり込む様にして呟いた夏候淵を、心配した関羽が近付いて来る。 

「怖い夢でも見た?」

 白い手が伸びて来て、細い指先が触れて、滑らかな掌が夏候淵の額に優しく押し当てられた。

「熱はなさそうだけど…でもきついのだったら今日はもう少し休んでおいた方がいいわね」

 嫌いだったはずの関羽が触れても嫌悪感は無い。
 嫌悪どころか冷たいその手の感触が気持ち良くてされるがままになっていた。
 
(あれは…あれが…夢??違う…あれは現実だ)

「関羽…」
「なぁに?」
「オレ…いつからオレだっけ…」
「……………夏侯惇呼んで来るわ。ああ、どうしよう、曹操も呼んだ方がいいかしら?」

 夏候淵の発言に関羽が慌てて誰かを呼びに行こうとしたのだが、

「ごめん、違う大丈夫。オレ、大丈夫だって…寝ぼけてた…」

 自分から離れていく関羽の手を掴み、彼女を引き止めた。

「…あ…兄者とお前とそれからオレと…手を繋いで宴に行ったの、思い出した」
「手を……もしかして董卓討伐の時の?」
「おう。お前が逃げようとしてたあれ」
「逃げようとって…だって宴とか苦手なんだもの。その夢を見ていたの?」
「違う。でも、あの頃はもうオレだったって思い出した」
「……夏候淵…何か悩みでもあるの?」
「馬鹿にしてんだろ、お前」

 良いけどね、と夏候淵が笑う。

「具合悪いわけじゃないし、少しでも身体動かしたいから朝の鍛錬付き合えよな」
「それは構わないけど…本当に大丈夫なのね?」
「平気だって」

 夏候淵が着替えるというと関羽は外で待ってるわねと言い部屋を出ようとする。
 そんな彼女に向かい、

「心配してくれてありがとな」

 そう言えば、意外なものでも見るかの様に見詰め返される。

「オレだって礼ぐらい言えんだよ」
「嵐が来ないといいのだけど…」
「テメ、後で覚えてろ!」
「ふふ」

 関羽は笑い声を残して戸を閉めて出て行った。


 長い夢を見た。
 夢だけど夢じゃない夢を見た。
 オレはまた時を遡り、2度生きた道をまた生きている。
 これが一体どういう事なのかなんてやっぱりオレには分からないけど。
 最初の時とも前の時とも何かが違う。
 だけどこれが最後なんだって思う自分もいる。
 でも、それでいいんだ。
 それが当たり前の普通ってやつなんだ。

 先が分かっていたけれど結局、曹操様は重傷を負われてしまった。
 でも、今は回復されてまた立ち上がり進み始められた。
 きっと兄者の左目も…俺は守る事ができないのだろう。
 でも兄者もそこからまた立ち上がり、更に武人として先に進んでいくんだ。
 その隣りには、関羽が笑っているんだろうな。
 そう思うと嬉しい反面、胸の奥がちくりと痛む気がするけど、それも仕方が無い。


 兄者の隣りに居るのが自分じゃない事が悔しいのか

 それとも
 
 関羽の隣りにいるのが自分じゃない事が悔しいのか


 兄者も関羽も同じくらい好きだから、オレの気持ちはそこから先に進ませるつもりは無い。
 二人と一緒にオレもいられればそれが嬉しい。
 だって、何度でも言える。

 兄者も関羽も大好きなんだ。

 関羽と関わる事で俺は自分でも驚くくらい変わったと思う。
 これが兄者の言ってた成長なのか…それも分からないけど。

「さってと、行くかな」

 でもオレは

 こんなオレも嫌いじゃない。
 


―終―

 

☆後書☆(反転)
 特別ルート『夏候淵』物語の自己満足補完小説です。
 夏侯惇×関羽+夏候淵という関係が好み過ぎます☆
 心を開けば、夏候淵は本当に可愛いやつです!

 

 


 

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