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【和花】 なごみばなと読んで頂けると嬉しいです。 乙女ゲーム系二次小説オンリーサイトです。
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大変ご無沙汰をしておりました。
暑い日が続いておりますが、皆様お元気にされていますか?

まず、2ヶ月も放置してしまい大変失礼致しました。
それでもこの様なサイトに足を運んで下さっている方々には頭が上がりません。
本当にありがとうございます。
今までに頂いてますコメント等には改めてお返事させて頂きますのでもう少しお待ち下さい。

そして、ひっさびさの千鶴ちゃんです。
ちょっとシリアスです。
今回の騒動を起こしたあの人に再登場して頂きます。

では、右下からどうぞ。

 

 


「新八や左之が共に遊んでいた頃はまだ異変を感じておりませんでした。二人が隊務に向かった後も暫くおはじきで遊んでいたのですが、その途中で千鶴が転寝を始め…」

 斎藤がそう言って沖田と藤堂と遊ぶ千鶴に視線を向ける。

「…異変が生じたのはその後からであったと思われます。彼女をきちんと布団で寝かした方が良いと、総司がまだうとうととしていた彼女を抱き上げた時には…ああいう状態になっていました」
「それまでは外見だけ小せぇ千鶴だったんだな?」

 土方の問いに斎藤が頷く。

「総司に抱き上げられた事で意識を覚醒させた千鶴が最初に発した言葉が『お兄ちゃんは誰?』というもので。少し言葉を交わせばああいう状態でした故、俺が副長の元へ報告に伺った次第です」
「………訳わかんねぇな…」
「申し訳ありません」
「ん?いや、斎藤の説明がって意味じゃねぇよ。山南さんの飲ませた薬の影響なんだろうが…本当に何なんだあの薬は。つか…何処と繋がってんだよあの人はよ」

 ガシガシと頭を掻きながらそう言う土方に視線を向け、

「あの人が本当に何の意味も無く、使用の仕方によっては本当に危険な薬を彼女にそう簡単に飲ませるでしょうか?」

 斎藤がそう言う。

「どういう意味だ、そりゃ?」

 怪訝そうな土方に視線を返され斎藤は小さく息を吐く。
 彼の言葉が届いたのであろう、沖田もこちらに視線を向けていた。

「突然彼女があのような姿になった為その事ばかりに意識が向いていたのは事実。ですが、何故…山南さんは彼女を小さくしたかったのだろうか、と」

 ずっと引っかかっていた事なのだ。
 山南の真意がどこにあるのか。

「薬の実験なら彼女でなくとも良かったはず。彼女に何かあれば近藤局長を始め、副長も幹部も黙ってはいなかったでしょう。もちろん山南さんとてそれは承知のはず。……あの人がそんな無駄な事をするとは…思えません」

 あっ、と小さな声が聞こえたのでそちらに視線を戻せば、転がってしまった赤い鞠を追いかけて愛らしい足音共に小さな千鶴がこちらに来ていた。
 鞠は土方の足にぶつかり止まる。

「意味があっての事…か?」
「ふくちょ?」
「…なぁ千鶴」

 土方は、目の前で己を見上げていた千鶴と視線を合わせる様に膝を折り身を屈め、足元にあった鞠を掬い上げる。

「なぁに?」
「あ…………はぁ…。否、何でもねぇよ」

 純粋な瞳に見詰め返されなんとも言えない気持ちになった土方は、

「うゆぅ?」

 空いている手で千鶴の小さな頭をぽんぽんと、優しく叩いた。

「楽しいか?」
「いっぱいあしょぶのたのちいよ!」
「そうか。…ほら、鞠」
「あいがとぉ」

 鞠を受け取った千鶴がそのまま土方をじっと見詰めて来る。

「何だ、どうした?」
「ふくちょもいっしょあしょぶ?」

 ちょこんと首を傾げて尋ねられ思わず、少しだけだぞ、と言いかけた言葉を何とか飲み込んだ。
 この可愛さはある意味最強なのかもしれない。

「ちと用があってな。総司達と遊んでてくれ」
「あしょべないの?」
「千鶴、副長には仕事がある故、無理を言ってはならぬ」
「あーい。…あじめはちじゅとあしょぶよね?」
「共に遊ぶ約束だったな」
「うん!やくしょくちてた!」
「じゃあ一君、千鶴ちゃんと遊んでてよ」

 気配もなく何時の間にか側に来ていた沖田が笑顔で告げる。

「総司?」
「しょぉじ、あしょばないの?」
「僕もちょっと…ね。話を聞いたら戻ってくるから一君と平助と遊んでて」
「しゅぐもどってくゆ?」
「もちろん」
「じゃあ、ちじゅまってゆね」
「うん」

 可愛い笑顔で待っていると言った千鶴の頭をひと撫ですると、

「そういう訳で土方さん、僕も一緒に山南さんの所に行きます。良いでしょ」
「別に俺は山南さんの所に行くなんざ言ってねぇだろ」
「でも行くんですよね?」
「………勝手にしろ」
「勝手にします。じゃあ行って来るね」
「いってやっしゃーい」

 幼い声に見送られて二人は広間を後にする。
 広間から少し離れた頃、

「山南さんに何を聞きてぇんだ?」

 土方が沖田に問いかける。

「ん~…別に大した事じゃないんですけど…。ねぇ土方さん」
「何だ」
「千鶴ちゃんって馬鹿が付くくらいお人好しで素直で、我慢強くて我侭も言わないですよね。不平不満も聞いた事ないです」
「まぁ…な」

 千鶴は元々好き好んでこの壬生狼の住処に居るわけではない。
 本当はとても不安だろうし怖ろしい思いをさせているのだろうが…一言もそんな事を言った事がない。

「気になってたんです。ただの女の子がいくら父親を探す為だからって…そこまで辛抱できるものなのかなぁって」
「…あいつの生まれや育った境遇なんざ…聞いた事なかったな」
「千鶴ちゃんってどっか良い所のお嬢さんなんですかね?」
「………どうなんだろうな」
「普通の家庭が乳母に子供を任せますか?」
「父親が頭領で母親にも滅多に会えねぇって…言ってたな」

『うばやがいいこちてたやかかしゃまあいにきてくえゆって』

 先程の千鶴の言葉が思い出される。

「どう頑張って考えてもあの鋼道さんがどっかのお偉いさんって…思えないんですよねぇ、僕」
「そんなに会った事があるわけじゃねぇが…確かにな」
「実は千鶴ちゃんの父親じゃない………なぁ~んてね」
「馬鹿言ってんじゃねぇ」
「でも実際のところは何も分からないんですよねぇ。土方さんも気付いてたと思うんですけど…千鶴ちゃんの所作って綺麗ですよね。あれって昔から教えられてたからなんじゃないのかなぁ」
「鋼道さんが習わせてたんじゃねぇのか?」
「それもあるとは思うんですけど…もしも彼女がどっかのお嬢さんもしくはお姫様だったとして」
「そういう教育を受けてたって?」
「だって彼女言ってたじゃないですか。『いい子』にしてたら、ご褒美がもらえるって」
「………」
「ご褒美は母親に会えること。身分が高い位置に居るからこそのご褒美って思いません?だってもし口減らしとかで家族から離れたら…そんな事ありえないでしょう。子供だって分かるんだ…それくらい」

 昔の自分と重ねているのか、沖田は最後の方は呟く様に言って庭の方へと視線を向けた。 
 そんな沖田の様子にあえて触れることはせず、土方は話の内容を少しずらす。

「……乳母にかお、だったか?後は」
「ちよーに…でしたね」
「それな、使用人なんじゃねぇか?女中とかそういった類のもんだろ、確か」
「人を使う側の人間だったって事?」
「普段のあいつを見て、そう思うか?」
「思いませんね」
「だよな………余計に頭がこんがらがってきた」
「じゃあ、かおって?」
「分かるかっ」
「怒鳴らないで下さいよ。僕の所為じゃないんですから。でも、あれですね」
「あ?」
「意外と謎が多かったんですね、千鶴ちゃん」
「…確かに、な」

 こんな事になってそれに気が付いた。
 それは知る必要がなかったからだ。
 不要になれば、邪魔だと感じれば斬って捨てるだけの存在だったはず。

「一年経ってないのに、結構内側に入る事許してたんですね僕等」
「………どうだろうな」
「素直じゃないですね」
「お前ぇに言われたくねぇ!」
「やだなぁ、言ったでしょ、一々怒鳴らないでもらえます?」

 辿り着いた部屋の前でいつもの様な言い合いを始めた時、

「やっといらしたんですか?遅かったですね」

 目の前の襖が開き、部屋の主が笑顔で出迎えた。

「…俺達が訪ねて来るの分かってたみてぇな言い方だな、山南さん」
「えぇ。もっと早くにお見えになると思ってましたよ。小さな彼女と過ごす時間が新鮮で楽しかったですか?」
「どういう意味です?」
「他意はありませんよ」

 そう言ってふふっと彼が笑う。

「夜が明けて、彼女が元に戻っていない時点で誰かしら乗り込んでくるのでは、と思っていたんですけどね」
「………だって、千鶴ちゃん可愛くて」
「そうだよな…もっと早く来て良かったんだよな…何やってたんだ、俺は…」
「まぁお二人が此処へ来たという事は、二段階目に入ったという事なのでしょうね」

 中へどうぞ、と促され二人は山南の部屋に入り襖を閉めた。

「山南さん、二段階目ってもしかして中身も見た目位まで幼くなってる事ですか?」
「ええ」
「だったら話が早ぇ。あれはそのまま放っておいて問題は無いのか?」
「思っていたよりも時間がかかりましたが、大丈夫ですよ。後もう数刻もすれば眠ってしまうでしょう。明日の朝目覚める頃には元に戻っていると思いますよ」
「………なんだ、つまんないの」
「総司、お前な」
「土方さんだってベッタベタに甘やかしてたじゃないですか」
「なっっ!?あっあれは!」
「おや、そうなんですか?」
「そうなんですよ山南さん。聞いて下さいよ、あの鬼と呼ばれし副長の子煩悩っぷりときたら」
「総司っ!」

 二人の言い合いが続きそうな雰囲気を山南が手を鳴らし中断させる。

「……さて沖田君。土方君をからかうのはまた何れとして」
「する必要ねぇだろ!」
「え~」
「え~、じゃねぇっ!」
「二人とも宜しいですか?」

 山南の声が少し低くなった事で二人はバツが悪そうに居直る。

「それで、小さくなった雪村君から、何か鋼道さんに繋がりそうな事は聞けました?」
「……山南さん、まさかその為にあいつに薬を飲ませたのか?」
「ええ。何度か実験をして大丈夫だろうと判断しました」
「実験…?」
「はい。雪村君は大事な預かりの娘ですよ。私がそんな危険な目に合わせると思いますか」
「………」
「土方君、なんですその沈黙は」
「別に…。はぁ…あいつが必要なうちは、あんただってそうそう千鶴を危険な目に合わせたりはしねぇだろうが…」
「残念ながら謎が増えただけで、鋼道さんの事は殆ど…と言うか全く分かりません」
「謎、ですか?」

 山南の問いかけに沖田は土方をちらりと見る。
 その視線の意図に気付いた土方は溜め息混じりに頷いた。

「実はですね、千鶴ちゃんはお姫様かもしれないって話してたんですよ」

 中身まで幼くなった千鶴が話した事。
 此処に来るまでの間に二人で推測していた事。
 それらを山南に話した沖田は最後ににんまりと笑った。

「ま、僕は如何だって良いんですけどね。小さい千鶴ちゃんと遊べないのは寂しいけど、元に戻っても遊んであげればいい事ですし」
「お前の遊ぶは遊びじゃすまねぇだろうが」
「僕は楽しいですよ」
「お前だけが楽しんでも仕方ねぇだろ…。加減しねぇと千鶴に嫌われるぞ」
「別に嫌われてもいいって…少し前の僕だったら言ったんでしょうけど。…そうですね飴と鞭を使い分けたら良いんですよね」
「……はぁ…頭いてぇ」

 沖田の笑顔に頭痛を覚えた土方が額に手を当て項垂れた。

「山南さん」
「なんですか沖田君」
「あの薬、後遺症とか無いんですか?」
「今のところ誰も発症してませんね」
「また服用するのは?」
「試作品ですしお奨めしません」
「ふ~ん…じゃあ僕は失礼します。千鶴ちゃんに直ぐ戻るって約束してますから」
「そうですか」
「山南さん」
「はい」
「千鶴ちゃん、中身が小さくなってもやっぱり千鶴ちゃんでしたよ。可愛くて元気で。頑張り過ぎる頑張り屋さんです」

 それだけ言うと、沖田は土方を残して部屋から出て行った。

「……山南さん。頼むから少しでも危険かもしれない事にあいつを使うのは止めてやってくれ」
「貴方も沖田君のように絆されましたか?」
「絆されたとかそんなんじゃねぇよ。だが……いじらしいと感じるぐれぇに健気だって事は、……良く分かった」
「それは困りましたね」

 責める様な物言いではなく穏やかな静かな声で言った山南に、

「ああ、本当に困ってるよ」

 そう返事を返し土方も部屋から出て行った。
 足音が遠ざかり聞こえなくなった頃、山南は小さな溜め息を吐いた。

「それが絆されたと言うのだと思うのですが。まぁ、あの様子だと他の幹部も同じ様な状態なのでしょね…局長を含め」

 ふふっと思わず笑いが零れる。

「泣く子も黙る新選組の、それも幹部が揃いも揃って何をやっているんだか」

(山南さん、お茶をお持ちしました)

 頼んだ訳でもないのに最近はよくお茶を運んできてくれる娘の顔を思い浮かべる。

「私も人の事は言えないのでしょうがそれでも…すみませんね雪村君。私にとって何よりも大切で最優先に考える事は新選組なんですよ」

 しかし収穫は無しですか、と小さく呟くと愛用の文机の方へ向かい座りなおした。

 

 

続く

 


 

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