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『はなりーっ!そらっ、はなりがあったよーーー!』
と今日も元気よくお店の中で言ってくれるのは二人いる姪のうち、下の元気娘ひぃちょん(3)です。
ひぃちょんの中で『はなり=桜』なんです。
ちなみに『はなり』とは『はらり』の事で、そうPS2・薄桜鬼の主題歌から来てたりします。
私が車とかで聞く影響で、歌えちゃったりします(笑)
いくら、これは桜っていうんだよって教えても『これ、はなりよ~』と聞き入れてはくれず、母親である妹から『おねんの影響やけんね!』と睨まれます…。
ちなみに『十六夜涙』も歌えちゃったり(苦笑)
不思議な千鶴ちゃんが創作できたのはひぃちょんが『これね~ひじかたしゃん!こっちはちじゅうちゃん!』と私の部屋で設定集なんかを見ながら言ってたのが切っ掛けだったり。
色々貢献してくれてたりもします。

とまあ、千鶴ちゃんのこぼれ話など書いてみました。
今回は出てくる予定なんてこれっぽっちも無かった筈の方がちょっと登場してたりします。
そんなお話は、右下からどうぞ。

 

 


 何だか少し沈んだ雰囲気のまま、木山に聞いた饅頭屋を探す。

「木山さんの言ってた通りってここだよな」

 原田がそう言ってあたりを見渡すが『桂屋』の文字はどこにも見えない。

「木山さんが間違ってたんだろ…。この近所に顔見知りの店がある。聞いてくるから待ってろ」

 土方が抱いていた千鶴をそのまま原田に渡す。

「じっとしてろよ」

 そう言って千鶴の頭を撫でるとすたすたと歩いて行ってしまった。

「近くにあるといいな」
「あい」
「木山さんもあれで結構な甘党でよ、島田と知識は張る位だって言うぜ」
「しまだしゃんもいっぱいちっていらっちゃいましゅよね」

 土方を待つ間何をするでもなく、ただじっと立って待つ。
 時々原田と言葉を交わしながら大人しくしていたのだが。

「ん?………何か騒ぎが起きてるみてぇだな」

 原田がそう言って視線を向ける方から、怒鳴るような声が聞こえてきた。 
 どうやら近くの店から聞こえてきているようだ。

「んだよ、こんな時に」
「はやだしゃん、わたちここにきちんといましゅかやしゃわぎをしじゅめゆのおてちゅだいちてきてくだしゃい」
「お前を一人にするわけにはいけねぇよ」
「ひじかたしゃんももうしゅぐもどってこやえゆちょおもいましゅ。だかや、けがにんがでゆまえに」

 いってくだしゃい、と千鶴は言った。

「でもよ」
「きょおのちあんをまもゆのがちんしぇんぐみのおやくめでしゅよ」

 千鶴に言われても原田は逡巡したが、一度小さく息を吐くと千鶴を地面に下ろした。

「絶対ここを動くんじゃねぇぞ」
「あい」
「何かあったらでっかい声を出せ」
「あい」
「直ぐ戻る」
「きをちゅけちぇくやしゃい」

 土方がした様に原田も千鶴の頭を撫でると、走って行った。 

(人が増えてきたなぁ)

 騒ぎを聞きつけてきたのか、いつの間にか野次馬が集まっていた。
 千鶴の周りにも人垣が出来始めており周りが見えなくなってくる。
 ちょっと下がった方が良いかもしれない、と思ったとき。
 千鶴の小さな身体にドンと衝撃がくる。
 野次馬に来ていた一人が背後にいた千鶴に気が付かず下がって来た所為で思い切りぶつかってしまったのだ。

「きゃあっ」

 小さな悲鳴を上げて千鶴が尻餅をつく。
 しかしその男は、

「んでこんな所に餓鬼がいるんだよ」

 忌々しげに舌打ちをし見下ろしてくるだけで助けようとはしない。
 睨み付けられるその目が怖くなって千鶴は鞠をぎゅっと抱きしめると俯いた。
 その間にも人は増えだし千鶴に危険が迫っている事は確かだ。

「さっさと行けっ」

 いらついているその声に、千鶴が小さく体を震わせる。
 早くこの場所を離れなければと思うが、土方と原田からじっとしている様に言われているのでそれは出来ない。
 どうしようとぎゅっと目を閉じて唇を咬む。

「愚かな」

 低い声が聞こえたかと思うと、本日もう何度目になるか分からないふわりとした感覚に包まれて、千鶴の視界が広がった。

「頑是無い幼子にまで虚勢を張らねば生きてゆけぬのか、虫けらめ」
 
 紅い瞳が目の前の男を射抜く様に睨み付ける。
 驚いた千鶴が見上げた先には金色の世界が映し出された。

(嘘っ…どうしてこの人がっっ!?)

 徒ならぬ威圧感を放つその人物は、ここ数ヶ月のうちに何度も顔を合わせたことのある男だった

「俺はお前のような人間が一番気に食わん。…命を失いたくなくばさっさと消えろ」

 静かに発せられる言葉だが、それに纏いつく威圧感は尋常ではない。
 それを正面から受けた男は顔色を土気色へと変貌させ、生唾を飲み込み、

「消えろと言っている」

 止めの言葉と同時に逃げ出して行った。
 途中転んだようにも見えたがそれを心配してやる義理もない。
 その余裕も…ない。
 何せいま自分を抱いているのは…。

「あ…あにょ…」

 千鶴も思わず息を飲み込んでしまう男で。

「…怪我は、ないか」
「あ、あいっ」
「この様な所に、お前の様な子供が何故一人でいる」

 訝しげに尋ねてくる言葉に、この男が千鶴の正体に気が付いていない事が含まれていた。
 それに千鶴は少しほっとする。
 が、ここをどう切り抜けるかが問題だ。

「え、えっちょ…おみしぇおしゃがちてちぇ」
「………店…か?」
「あい。…しょえでひ…にいしゃまがしょのおみしぇのばしょおききにいっちぇましゅ」
「ほう?中々に利口な子供だな」

 千鶴の見た目年齢からすれば、しっかりと物が言える事は確かに凄い事かもしれない。
 だがそれは彼にとって好印象であったようだ。

「ふん…お前の様な者がまだこの京にいたとはな」
「?」

 じっと見詰められ、千鶴は戸惑う。

(お前の様なって…どういう事なんだろう?)

「…お前は…」

 彼が言葉を続けようとした時。

「風間」

 別の低い声が、千鶴を抱き上げている男を呼んだ。
 姿は見えないが、近くにいるのだろう。

「俺はもう行かねばならん」

 何故か少し名残惜しげに彼は言うと、千鶴をそっと地面に下ろしてくれた。

「一人で待てるか」
「あい、だいじょおぶでしゅ」

 紅い瞳に見られても、今は怖いと思わない。
 その色がとても暖かな色に見えるから。

「たしゅけちぇくえちぇあいがちょおごじゃいまちた」

 千鶴はそう言って胸に鞠を抱いたまま素直に頭を下げた。

「賢い娘よ…お前は…不幸ではないか?」

 その言葉に驚き千鶴は顔を上げて首をちょこんと傾げる。

「ふこお?」
「この様な街中で、愚かな人間の住まう場所等で、苦しくはないか?」

 頬にそっと宛がわれた彼の掌がとても温かい。

「辛くはないか?」

 重ねて聞かれた言葉に千鶴は頭を横に振った。

「だいしゅきなひちょがいっぱいいましゅ。だかやへいきでしゅ」
「そうか。ならば良い」

 頬の手が離れ、その手で優しく頭を撫でられると千鶴は目を細めた。

(土方さんと同じだ…この人も多分敵で戦になればとても怖い人なんだけど…こんな優しさも持ち合わせている人なんだ)

 でも煮え湯を飲まされた事があるのは確かだ。
 沖田に血を吐かせたのも、突然隊士を斬ったのもこの男に違いはない。

(ちょっとくらい仕返ししても罰は当たらない、よね?)

 何かをふと思いついた千鶴が、

「……おじちゃん?」

 自分を見詰める男に行かなくて良いのという意味合いを含めてそう呼びかける。

「ひちょいでもだいじょおぶでしゅよ?」
「…ふ、ふん。…さらばだ」
「あい。しゃよなや、おじちゃん」

 彼は立ち上がるとこちらに背を向けて歩き出した。

「ばいばーい、おじちゃ~ん」

 止めとばかりにその背に向かい、大きな声でそう言って手を振った。
 その背中がちょっと傷付いている様に見えて僅かな罪悪感が生まれたが、まあ気にしないでおこうと千鶴は思う。
 だが。

(…今回は…助けてもらったんだよね…)

 手を振った後、お礼の意も込めて彼が歩いていった方向に頭を下げた。

 

 

「………何かあったのですか、風間」

 何故だか気落ちしているように見える主に、背の高い男が尋ねてくる。

「天霧よ」
「何です?」
「幼子からすれば俺は………何でも無い」
「風間?」

 何でも無いと言っているだろう、と自分より背の高いその男を一睨みすると、風間は小さく息を吐いた。

「天霧」
「はい」
「八瀬の姫に子はおらぬよな?」
「千姫様にはまだ婚姻を結ばれたお相手はいらっしゃいませんが…何故です?」
「では…この京に八瀬の姫以外にも純血の鬼がいるという事は聞いた事あるか?」
「いえ。強いて言うなれば風間が言っていた新選組にいる娘ぐらいでしょう」

 天霧の言葉に、風間がちらりと後方を振り返る。
 それに倣い天霧も後ろを見たが、特に気になるものは無かった。

「先程からどうしたんですか、風間」
「そこで、まだ2つか3つそこらの鬼の娘に会った」
「…本当ですか?」
「何だ、俺がこの様な事を戯言として口にするというのか?」
「そうは思いませんが…しかし」
「ふん。…あの娘は確かに鬼の血が流れている。…純潔の濃い血がな」
「貴方がそこまで仰るのでしたらそれは間違いないのでしょう。…が、この京にそのような一族がまだいたとは」

 保護すべきでは?と天霧が言うと風間は面白そうに鼻で笑い、薩摩の者と落ち合う事になっている旅籠へ入っていく。

「保護の必要は無いだろう」
「そうなのですか?」
「あの娘は、それなりに良い暮らしをしているのだろう。着物も上質のものであったし手にしていた鞠も上等な絹糸で出来ていた」
「……そんな鬼の娘の存在を耳にした事が無かったのは不思議ですね」
「好きな者が沢山いるから平気なのだそうだ」
「千姫様ならば何か御存知かもしれません。機会があれば尋ねてみましょう。名は?」
「……そういえば名を聞き損ねていたな」
「風間…」
「いずれまた会えるだろ…この京にいればな」

 先程まで気落ちしている様に見えた主の機嫌がよくなり、天霧は小さく頷く。

(鬼の娘の事は気になるが…今は風間の機嫌が良くなった事が大いに助かった)

 機嫌の悪い状態での会合は、全くと言って良いほど関心を示さない風間だ。
 今日は少し話が進められるかもしれないと、心の底からほっとした。

 


「千鶴!」

 風間が去って、僅か後。
 原田が走って戻ってきた。

「悪かったな、良い子にしてたか?」

 そう言いながら千鶴を抱き上げる。

「もぉ、こどもあちゅかいちないでくだしゃい」
「今の千鶴は十分子供だろ?」
「はやだしゃん!」
「冗談だ冗談。何もなかったか?」

 少し心配げに聞いてきた原田に千鶴は笑顔で頷いた。

「そうか。…悪かったな一人にしちまって」
「いいえ。おちゅとめごくよおしゃまでちた」
「ん、ただいま」
「おかえいなしゃいましぇ」
「お、土方さんも戻ってきたな」

 こちらに向かってくる土方の方に向かい、原田は歩き始める。
 
(あの人の事は…話さない方がいいよね)

 そう考えながら、千鶴は土方に向かいその小さな手を振った。

 

 

続く…

 



 

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