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で、今回は本当に、本当に久しぶりな、不思議な千鶴ちゃんです。
ここ最近は夫婦騒動録ばかり書いていたので、千鶴ちゃんの感覚が分からなくなってしまってました…(滝汗)
なので、なんだかリハビリ的な千鶴ちゃんです…orz
『千鶴ちゃんと土方さんと京の人』というサブタイトルを付けた方がいいかなぁ…と自分でも思ってしまう内容です。
今回は京言葉を使ってみましたが、思いっきり感覚で書いてます。
おかしな所があってもスルーしてやって下さい(涙)

そんな千鶴ちゃんの小説は右下からどうぞ。

 

 


「ったく、木山さんの記憶を一度疑うべきだったな」

 そう言った土方と共に千鶴を抱き上げたままの原田も苦笑いしながら頷いた。
 今3人は目的地である『桂屋』の前にいる。
 …方向としては木山の言っていた方向とは真逆の場所ではあったが。
 しかも結構な距離を歩いた気もする。
 とは言っても千鶴はずっと原田に抱かれたままだったので自分の足では一歩も歩いてはいないのだが…。

「ち…ちかたないでしゅよ…しゃいきんかわえちぇなかっちゃのかもちれましぇんし」
「木山さんを庇う必要はねぇよ、千鶴」
「そうだぜぇ千鶴。ま、何にせよ無事着いて良かったな」
「あい」

 ここに至るまでに何軒の饅頭屋をその目で見送ってきた事か。
 もう、そこで良いんじゃないかと言いかけた言葉を千鶴は何度か飲み込んでいた。

(土方さんも原田さんも桂屋さんを見つける事に向きになってるんだもんなぁ…)

 小さな子供みたいと、思わずクスリと笑ってしまう。

「千鶴?」
「…なんでもあいましぇん」
「そうか?んじゃ下ろすぜ」
「あ、あい」

 千鶴は原田の腕から地面に下ろされ、久々にその足で立った。

「俺はここにいる。土方さんと千鶴で買って来いよ」
「はいやないんでしゅか?」
「見張り、ってとこだな」
「良いのか?原田」
「良いも悪いも、俺は最初から護衛のつもりで付いて来てんだから、構わねぇよ」
「直ぐに済ませてくる。行くぞ、千鶴」
「あい。しゅみましぇん、いっちぇきましゅ」
「おう。あ、鞠は預かっとくな」
「おねがいちましゅ」

 鞠を渡した後、原田に見送られ二人は店の中に入る。
 店の中は甘い香りが充満しており、

「いいにおいでしゅね」

 と思わず笑みがこぼれてしまう。
 そんな千鶴に見上げられ、土方も一緒に笑ってしまった。

「おこしやす」

 そんな二人に店の店主が声をかけてくる。

「こんにちは」

 千鶴は笑顔のまま挨拶を返した。

「どちらをご用意致しましょう」
「餡は適当に見繕って50包んでくれねぇか」
「ご…ごじゅうもかうんでしゅか!?」

 店主に告げた土方の言葉に千鶴が思わず驚きの声を上げる。

「見たところ色んな味の餡があるみてぇだし、食べるのあいつらだぞ?」
「……………しょおでしゅね…ごじゅうでもたいないきがちてきまちた」
「だろ?」
「ほな、50包ませてもろうてもよろしおすか?」
「頼む」

 店の主は優しげな初老の男で、笑顔を絶やさず温かな雰囲気を放っていた。
 彼が色々な味の饅頭を紙で出来た箱に詰めている間、千鶴は土方と共に店先に並べてある饅頭を眺める。

「わぁ…おみかんのおまんじゅうもあゆんでしゅね」
「こっちは桜餡だな」
「こえはぁよもぎでしゅ」
「おや、お嬢はんはお小さいのに蓬が読めるんどすな」
「え…」

 しまった、と思わず土方を見上げる。
 その視線に気が付いた土方がぽんと千鶴の頭に手を置いて、

「こいつの親が医者ってのもあって、身近にそういった漢字がある所為か物覚えも良いみてぇで、な?」

 とそう言った。

「お客はんの娘さんと違うんどすか?」
「知り合いからの預かり子だ。…これくらいの子がいてもおかしくはねぇんだがな」
「なんやよう似てはるから、親子さんや思うてました」
「…似てる…か?」
「ええ。御髪のお色もお綺麗なお顔立ちも、よう似てはります」
「だとよ」
「ひじかたしゃんとにてゆっちぇ…うえちいでしゅけど、はじゅかちいでしゅねぇ」

 千鶴が頬を染めて言った言葉に、

「土方?…新選組の…?」

 店主の女房だろう女将が驚いた様に言った。
 その様子に土方は小さく息を吐く。
 新選組の名は京の隅々まで浸透しているのだろう。

「迷惑を持ち込まねぇうちにとっとと退散するから、饅頭は売ってくれ。ここのが美味いって聞いて楽しみにしてたからよ」
「ひじかたしゃん?」
「悪ぃな」

 千鶴にそう言った土方に、

「そういう意味と違うんどす。…新選組の土方はんゆうたら…鬼の様やて噂にきいとって…」
「……確かに鬼副長といわれるな」
「そ、そやからな」

 女将が慌てた様に弁解した。

「こないな色男や思うとりませんで。…噂はほんまに当てにならんもんどすなぁ。想像しとったんが般若のお顔やったんで驚いてしもうて。堪忍え」
「…お前、般若は女の鬼やぞ。うちのが失礼を」
「否…新選組の名がどういった形であれ京に広まっていて、馬鹿な事をやらかす奴らが大人しくしてくれりゃあいいんだが。それが原因でこいつの楽しみは奪いたくなくてな」
「ひじかたしゃん…。あ、あにょ!」

 困ったように笑う土方を見て千鶴は悲しくなってくる。
 土方は確かに『鬼』と呼ばれる男だ。
 でもそれは…。

「ひじかたしゃんは、こわいちとでしゅ。けど、とおってもやしゃちいちとで、でもやしゃちいかやちょっちぇもこわくちぇ、でもやしゃちいんでしゅよ!」

 必死で訴える。
 千鶴が知っている土方はきっと物凄く少ない。
 それでも、知っている事だけでも怖いだけの男でない事は分かる。

「ああ、お嬢はん、ほんま堪忍や。こないに可愛らしいお嬢はんに好かれとるお人やものな」
「新選組は人斬り集団やてそればかりが先行してしもうて、あんたはんらが京の治安を護ってくれとる事を京の人間は見ようとしとらん。口さがないモンばかりでほんま申し訳ない」
「こっちも否定は出来ねぇ」
「せやけど、新選組が居はらんかったら不逞浪士共が横行しとった頃に逆戻りや。京都見廻組よりも不逞浪士を直接懲らしめてくれとるんはあんたはんらやさかいな」
「斬っているのは事実だがな」
「新選組も捕縛が本当の目的やて聞きました。せやけど刀抜いて斬りかかって来る不逞浪士に対応するんにはあんたはんらも必然的に刀抜かんとあかんでしょ」

 準備の出来た饅頭をすっと差し出しながら店主が言った。

「京の人間皆が皆、あんたはんらを嫌っているんとは違います。せやから、これからもどうぞ御贔屓に」
「せやね。お嬢はんもまた来てくれはるとおばちゃん嬉しいなぁ」

 女将はそう言って千鶴の前に屈むと、蒸し立ての饅頭をそっと差し出した。
 ふんわりと香るのは蜜柑の匂い。

「土方はんの事よぉけぇ教えてくれたお礼や。もろうてくれる?」
「………」

 千鶴は差し出されたそれと土方を交互に見る。
 そんな千鶴に土方は小さく頷いてやった。

「えちょ…あいがちょおごじゃいましゅ。わぁ…あっちゃかぁい」
「熱いから気ぃつけてな」
「あい」

 嬉しそうな千鶴の横で支払を終えた土方がさて、と漏らす。

「そろそろ行くか」
「あい」

 千鶴はこくんと頷き、桂屋の店主と女将に向かい頭を下げた。

「あいがちょうごじゃいまちた」
「こちらこそ、おおきに」
「またおいでやす」

 土方も軽く頭を下げると千鶴を促し店を出ていった。

「あんた、また来てくれはるといいねぇ」
「色男に弱いのも程々にしとけぇ」

 どこか嬉しそうに零した女房の言葉に、亭主である男は溜め息を吐いた。

 


「待たせたな」
「おう」
「原田、これいいか」

 店から出てきた土方は外で待っていた原田に饅頭の包みを渡す。

「随分買ってきたなぁ」
「いろんなあじがあるんでしゅ…ひゃあ」

 原田と話していた千鶴を土方が抱き上げる。

(俺は怖い、だが優しい、けど優しいから怖い…か)

 先程千鶴が必死に言い募ってくれた言葉を思い出す。
 実は結構嬉しかったりしたらしい。

(そんな風に思ってくれんのがこいつなら、不思議と嫌な気はしねぇな)

「土方さん?」
「ひじかたしゃん?」

 二人に呼ばれ、ふっと笑みを漏らす。

「おら、折角蒸し立ての饅頭貰ったんだろうが。温けぇうちに食べちまえよ」
「あい」

 千鶴は両手で掴んでいた饅頭を少し割るとまずは歩き始めた土方の口元に差し出した。

「ひじかたしゃん、どぉじょ」
「お前が食えよ」
「おしゅしょわけでしゅ。あーんちでくだしゃい」
「………ったく」

 少し照れ臭い気もしたが、千鶴からのおすそ分けを貰う為口を開いた。

「お、こりゃあ美味ぇな」
「ほんとでしゅか、じゃあ…あい、はやだしゃんもどぉじょ」
「んじゃ、あーん」
「あー…ん、…どおでしゅか?」
「うまっ。木山さんの甘味通だけは本当らしいな」
「ほら、後はお前が食え」
「いたやきまーしゅ…―――っ!おいちいでしゅねぇ!」

 無邪気に喜ぶ千鶴を見ながら、男二人の双眸が下がる。

「ひじかたしゃん」
「どうした?」
「へーしゅけくんのおだんごはまたにちてもいいちょおもいましゅか?」
「この饅頭を食べさせてぇんだろ?」
「あい」
「お前がそう言やぁ平助は喜ぶだろうよ」
「しょうでしょうか?」
「平助は喜ぶな。俺が保証してやる」
「はやだしゃん」
「つーわけで、さっさと帰ろうぜ」
「ああ」

 目的のものをやっと買えた3人は、屯所への帰路へとついた。

 

 

続く…

 


 

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