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いつもコメントを下さる方からのリクエストで、ED後の砂吐き甘々原千をとの事でして…。
すみません、月夜野にはこれが限界でした(涙)
しかも捏造人物二人ほど出しちゃいました…。

左之さんって他のとこで出すのはまだ書きやすいんですが、単品(?)で書くとなると難しかったです。
けど、何だか新鮮で楽しかった!
リクエスト下さったリンゴ様、こんな感じで如何でしょうか?
アニメ十八話の悲しさを吹き飛ばしていただ…けないかも…。


捏造ED後原千。
宜しければ右下からどうぞ。


 

 


『なぁ千鶴』
『はい』
『ずっと一緒に生きていこうな』
『はい』
『幸せな家庭を築こう』
『はい』
『千鶴、愛してる』
『はい』
『……いや、そこは私もとか、愛してますとか返して欲しい所なんだが』
『ふふっ』
『あ、俺をからかったな?』
『愛しています、左之助さん』

 

 

 

 パタパタと足音を響かせて、家中を歩き回る。

「左之助さん?」

 居間を覗いて、ここにもいないと千鶴は首を傾げた。
 彼の姿を家中探してみたのだが、見つける事が出来なかった。

「外かしら」

 そう考えると、思い当たる場所がひとつあった。
 こちらに渡って来た時にずっと共に生きて行こうと誓ったあの場所。
 外を見やれば、そこは気持ちが良いほど澄み渡った青空。
 この青は、祖国で戦う彼らの背中を思い出させる。
 そう。
 不思議なくらいに、背中しか浮かばないのだ。
 顔を忘れたわけではない。
 目を閉じれば、皆が笑っている顔も思い出せるし、声もちゃんと蘇ってくる。
 それでも。

「皆さんの背中ほど温かくて強くて安心できる物は、ありませんでしたから」

 皆さん、どうしていらっしゃいますか?

 祖国を思うと目頭が熱くなる。
 日本を出て、大陸に渡るのが実は夢でもあったのだと夫は言った。
 それはきっと嘘ではないのだと思う。
 けれど、本当の理由は自分にあるのだと分かっている。
 『鬼』という柵(しがらみ)の無い、自由な土地で生きていけるようにとの配慮からだと。

 時々不安になる。
 新選組から、靖共隊から彼を奪ったのではないか、と。
 本当にこれで良かったのだろうかと。
 迷って悩んで涙したこともある。
 でも、その度に彼は強く抱きしめて、言ってくれる。

『俺はお前を選んだんだ。戦いじゃなく、穏やかなお前との生活を選んだんだ。俺は幸せモンだ』

 普段から甘い言葉や、優しい言葉は掛けてくれる人ではあるけれど。
 それを告げる時はより甘さが増す気がする。
 そしてとても真剣な眼差しなのだ。

「私だって選んだんだ。左之助さんと生きる道を」

 深く息を吸って、ゆっくりと吐き出す。

 皆さん、どうしていらっしゃいますか?
 私は幸せです。
 海を隔てた同じ空の下。
 遠く離れていても、心はきっと皆さんと共にあります。


 この先何年経っても
 きっと
 ずっと


 だからこそ、強くあれる。

「さてと。お昼の準備も出来てるし、探しに出てみようかな」

 そう呟いて、千鶴は庭先から外に出た。
 家から少し歩く。
 そこは断崖の上。
 あまり環境としては良くないのではと思ったが、彼はここが良いといって譲らなかった、誓いの場所。
 崖の下は真っ青な海が広がっていて、でもその海のずっとずうっと向こうには懐かしい祖国がある。
 瞳に映す事は叶わなくても、それでも思いを届けるには一番いいと。

「いた」

 誓いをたてたその場所には和服に身を包んだ夫の姿と、今年9つになった息子の後姿があった。
 彼らの正面に在る物を見上げながら、何か話をしている様だ。

 子供を産むことはとても抵抗があった。
 鬼の血を残す事がとても怖くて、懐妊した時は喜びよりも実は不安の方が大きかった。
 それでも、

『千鶴、鬼の血を残すんじゃねぇだろ?俺とお前の生きた証を残すんだ』

 優しく諭してくれたのはやはり夫だった。
 生まれて来たのは男の子で。
 今は父親に習って剣の腕をめきめきと上達させている。
 そういえば、槍術も習ってみたいといっていた。

「やっぱり親子ね」

 後姿がそっくり。
 思わずふふっと笑ってしまう。
 そっと忍び寄って背中から夫を抱きしめた。
 きっと既に気が付いていたはずなのに、

「おお?千鶴か、驚かすなよ」

 と笑って見せる。
 彼の背中に頬を摺り寄せる。
 大きな背中。
 温かくて、一番安心できる場所。
 胸の中に閉じ込められるより、背中に抱きつく方が好きだと言ったら、きっと苦笑される。
 それでもきっと千鶴の気が済むまで好きにさせてくれるのだ。

「母上、足音で分かりすぎです」
「あ、ほんと、かあさまだ」

 夫の隣に並んでいた息子の声と、もうひとつ幼い女の子の声。
 左之助の腕に抱かれていた、丁度今日で4歳になる、娘。 
 女鬼といわれる存在だ。
 でも、もう迷いは無かった。
 男の子だろうと女の子だろうと自分と愛しい左之助の血を継ぐ大切な存在なのだから。

「あら、新之助も母様の事いえないでしょう」
  『新八の【新】の字に俺の【之】平助の【助】で、新之助』

 息子が生まれた翌日に、彼が初めての子供に贈った名前。

「母上よりはましですよ。ね、父上」
  『まぁ、助は俺の字でもあるけど、平助から貰ったって事で、な』

 嬉しそうに名付けた彼の顔は、この先ずっと忘れはしない。

「どうだろうなぁ。新之助も結構足音させてるじゃねぇか」
「させてるよ~」
「父上、千花まで」
「かあさまぁ、ちはな、おなかすいたよ?」
「お昼ご飯出来てますよ。だからお迎えに来たのだもの」
「僕もお腹すいた。千花、家に帰ろう。父上、千花を降ろして下さい」
「はいよ」

 降ろした千花が新之助ときちんと手をつないだ事を確認すると、

「あんまり急ぐとこけるぞ」

 と声をかけて見送った。
 家まではそう距離はないので、先に帰ったとしてもあまり心配はしていない。
 それよりも、今気になるのは背中にくっ付いたままの千鶴のことだ。

「で?俺の可愛い奥さんはいつまでそうしてんのか聞いてもいいか?」 
「……空が青いなって、思ったんです」
「確かにな」
「そしたら、浅葱色のだんだら羽織を思い出しました」
「………そうか」
「青い空を見上げると、ちょっと寂しいって思いますけど…」
「けど?」
「一人ではないので、平気なんだなって思いました」
「一人で色々思ってたんだなぁ」
「はい、色々と」
「そうか」
「はい」

 左之助の腰に回した腕に、少し力を込める。
 するとその回した手に、彼が自分の手を重ねてきた。
 
「千鶴」
「はい、左之助さん」
「ずっと、一緒だ」
「はい」
「あの日も、ここでそう誓ったな」
「ええ。あの日もとても良いお天気でした」
「二人でこいつを植えた」

 そういって、左之助は自分達の前にある生き生きと枝を伸ばしている一本の木を見上げた。
 日本から持ってきた、桜だ。

「船出の日、不知火がくれた苗木がこんなに大きくなるなんてな」
「本当に」

 千鶴はそっと手を離し、左之助の隣に並ぶ。

「不知火さんも、まさか断崖の上に植えているなんて思わないでしょうね」
「でもよ、ここだって思ったんだから仕方ねぇだろ?」
「桜と新選組って、何だか縁があるような気がします」
「よく皆で花見したな」
「皆さん、桜が大好きでしたね」

 苗木を植えた頃はまだ小さくて見下ろしていたのに、今は見上げるほどに大きく成長した。
 千花が生まれた日。
 娘が生まれた事を報告したいからと左之助が一人でここに来た時。
 それは見事に桜が咲き誇っていたのだそうだ。
 千の花が一斉に開花していたと。
 だから、娘の名は『千花』と名付けた。

「あの時、本当に千の花が咲いたように見えたんだよ。実際はそんなに大きくなってなかったからさ、見間違いかも知れねぇけど」
「いいえ。きっと見間違いではありませんよ」

 寄り添ってきた千鶴の肩を左之助が優しく抱き寄せる。
 二人して、誓いの桜を見上げたその時。
 一陣の強い風が桜の木を吹き上げた。
 桜の花弁が一気に巻き上げられて海へ向けて舞っていく。

「風が、きっと皆さんの元へこの花弁を届けてくれますね」
「…だな。きっと、届くさ」

 空を舞う桜の花弁の向こうに。
 だんだら羽織をまとった男達の背中が見える。

「私はとても幸せです」
「俺も、幸せだよ」

 たとえもう会うことはなくても。
 同じ空の下。

 想いはきっと届いている。

「父上~母上~遅いですよーっ!」
「おなかすいたよぉ~」

 子供達が呼ぶ声がする。

「戻るか」
「はい」

 家に向かい歩き始めながら、左之助はもう一度桜を振り返った。

「なぁ千鶴」

 振り返ったまま妻を呼び、返事が返ってくるとそちらに向き直った。
 肩を抱いたその姿勢で、耳元に唇を寄せる。

「そろそろもう一人、どうですか?」
「え、ええ?」
「新之助もしっかりしてきたし、千花も喜ぶと思うんだがよ」
「え…と、あの」
「今夜辺りから頑張りませんか?」
「………左之助さんが…望まれるのでしたら…」
「欲しい」
「が…頑張ります…。お、お手柔らかにお願いします、ね?」
「ん?ん~~~」
「さ、左之助さん!?」
「千鶴顔が赤いぞ」
「誰の所為ですかぁ…」
「俺です、よ」
「んっ」

 耳元にあった唇が、今は愛しい者の唇に重なっている。
 何度重ねても、きっと彼の妻は真っ赤になるのだ。

「あーーーっ!またいちゃいちゃしてるぅっっ!!」
「子供の前ではやめて下さいって言っているでしょうが!父上!」

 唇を離し、

「新之助に怒られた」

 と左之助が笑う。

「当然です、もう」
「帰るか。流石に俺も腹が減ったな」
「はい」

 千鶴の手を取り二人仲良く並んで歩く。
 何年経ってもきっと変わらない。

 いつまでも、いつまでも。
 二人で歩いていくのだ。

 

 幸せなこの時間を。

 


終わり

 

 

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