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【和花】 なごみばなと読んで頂けると嬉しいです。 乙女ゲーム系二次小説オンリーサイトです。
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9月18日、今日は公式ではありませんがほぼ公式と思われる千鶴の誕生日☆
というわけで何とか間に合いました(汗)
何書こうかなぁと迷って、いつか書きたかったものを書きました。
誕生日とはちょっと違うけど、あったかくて優しい感じのお話を、と。
去年がちょっとシリアス気味だったので(笑)

なので『夫婦騒動録』より番外編…しかもフライング気味な内容。
オリキャラ視点での物語となっております。
楽しんで頂けると嬉しいです。

明日は有り難くも【和花】が2周年を迎える事が出来そうです。
ささやかではありますが、お持ち帰りして頂けるフリー小説を準備中です。
UPは夜になるとは思いますが…。
頑張って仕上げます!(←まだ出来てないのバレバレ)

それでは、我等が薄桜鬼そして愛おしい千鶴。
御誕生日おめでとう!!


物語は右下からどうぞ。

 

 


「え…っと…」

 大きな籠に入れた贈り物を抱えたまま、おれはどうしていいか分からなくなった。

「君、誰?」
「おれ、利助です。あの、千鶴ねーちゃんはいないんですか」
「ふ~ん?」
「えぇ…っと」

 兎に角おれはこの贈り物を早く届けたいんだけど。
 いつもと違うお屋敷の雰囲気におれの背中にしがみ付く様にして姿を隠している弟と妹がいる。
 それよりも…誰だ?このにーちゃん。
 ここに来るようになって初めて見る顔だ。
 斎藤のにーちゃんと平助にーちゃんに、原田のにーちゃん。
 それから島田さんにはこのお屋敷で会った事はあるんだけど…。
 
「で?」
「え?」
「君、何しに来たの?ここが新選組の鬼副長の隠れ家って知ってて来たの?」

 凄く背の高いにーちゃんはそう言ってにやりと笑った。
 新選組の人なのかな?
 っていうか千鶴ねーちゃんも土方の旦那さんもいないのかな?
 それに…ここ隠れ家なんて言ってなかったと思うけど。
 って言うか、おれがこれを持っている時点でおれが何しに来たかって分かるんじゃないの?
 ちらりとそのにーちゃんを見上げても中々取り次いでくれそうにもないし、そろそろおれの腕も限界だ。
 何だか意地悪そうなこのにーちゃんに頼ってちゃ駄目なのかもしれない。
 ここのお屋敷が土方の旦那さんと千鶴ねーちゃんの家だって事は間違いないし。
 えっと、何て言うんだっけ…『きょーこーとっぱ』確かそんな言葉。
 おれはすうっと息を吸ってお腹に力を込めると、

「千鶴ねーちゃーーーーんっっ!!」

 おれ達兄弟にいつも優しくしてくれる大好きなねーちゃんの名前を、思い切り大きな声で呼んだ。

「………ぷっ」

 大きな声で呼んだおれに背の高いにーちゃんはちょっとだけ驚いた顔をして、

「そっそうくるんだ!あっははははっっ!」

 蹲る様にお腹を抱えて笑い出した。
 だから、誰、このにーちゃん。
 
「りすけにぃちゃん?」
「ふぇぇぇっっ、うぇええええんっっ!!」

 突然の大きな声に驚いた弟は目をぱちくりさせている。
 妹は我慢していた涙がボロボロ落ちて、とうとう泣き出してしまった。
 それでも、だって、仕方がないよな。
 おれたちは何も悪い事してない。
 土方の旦那さんにもこの土間までは伺い立てなくても入っていいってお許しを貰ってる。
 ここから中に声をかけてくれれば良いよって千鶴ねーちゃんも言ってくれた。
 なのに、ここに入ってきてこの変なにーちゃんと会って、どうして意地悪されなきゃいけないわけ?
  
「利助君?それに、仁吉君とお佐都ちゃん」

 おれの声、というか土間での騒ぎに気が付いてくれた千鶴ねーちゃんがパタパタとやってきて、ビックリしてる。

「沖田さん?」

 お腹を抱えて苦しそうにまだ笑ってるにーちゃんを見下ろしながら千鶴ねーちゃんは土間まで下りて来た。
 おきたっていうんだ、この変な笑いじょーごのにーちゃん。
 千鶴ねーちゃんは泣いてるおれの妹のお佐都にいつもの優しい笑顔で、

「あらあら、どうしたの?おいで」

 両手を伸ばしてくれた。
 お佐都はおれの背中から離れて一目散に千鶴ねーちゃんのところに行って抱っこされる。
 人見知りが激しいお佐都だけど、千鶴ねーちゃんにだけは最初っから懐いてた。
 あ、今抱っこしても平気なのかな?

「何の騒ぎだこりゃ。ん?おう、やっぱりお前か利助」

 千鶴ねーちゃんがお佐都をあやしてるのを見て声をかけようとした時、土方の旦那さんも姿を見せてそう言っておれに笑いかけてくれる。

「仁吉とお佐都も今日は一緒か」
「とーちゃんとかーちゃんが土方様んとこもってけって。いつも野菜買ってもらってるからお礼」
「きょうのあさねとーちゃんとにぃちゃんとぼくでひろってきたんだよ!」
「こりゃまた立派な栗じゃねぇか」

 とんっと上がり框から土間に下りてきた旦那さんがおれが抱えている籠の中を覗いて笑った。

「ありがたく頂く」
「実がころんころんしてておっきいんだ。去年食べたのは凄く甘かったから今年も美味しいだろうってとーちゃん言ってた」

 土方の旦那さんはおれの手から籠を軽々と持ち上げる。
 やっぱすげーなぁ。

「ここまで3人で運んでくれたのか?」
「うん。時々仁吉が引っ張ってくれたりお佐都も俺の背中押してくれたりしたから助かった」
「そうか。大変だったろう?ありがとうな」

 旦那さんはそう言っておれの頭をグリグリと撫でてくれた。
 とーちゃんと同じ褒め方をしてくれるこの手がおれ大好きで、大好きと同じくらい憧れてる。
 おれも大人になったら旦那さんみたいな男になりたい。
 きれーな顔してるのにすっげー頭いいし目茶苦茶強い。
 初めて会った時、おれとかーちゃんは土方の旦那さんに助けてもらった。
 それからはうちの野菜を買ってくれるし、おれたちも時々遊びに来るようになって。
 昼間は千鶴ねーちゃんが一人の時が多いから暇な時は遊びに来てやってくれって旦那さんが言ったんだ。
 ご縁があったんだねってねーちゃんが言ったとき、何だかすげー嬉しかったな。
 土方の旦那さんも、そのお嫁さんの千鶴ねーちゃんもおれ達兄弟は大好きで。
 新選組は怖いって皆言ってるけど、怖いだけじゃないっておれ知ったから、だからここにお届けに来るの嬉しいんだ。

「つか、何やってんだ総司」

 おれの頭を撫でてくれた後。
 仁吉の頭も同じ様に撫でていた旦那さんが、振り返ってあのにーちゃんに向かって聞いた。
 あ、お佐都の奴もう笑ってる。
 一度泣き出すとかーちゃんですら手を焼くって言ってたのに。
 千鶴ねーちゃんもやっぱすげーな。

「何って、丁度ここに来たらこの子達が居たんで、話しをしていただけですよ」
「嘘付くな。どうせ要らん事言って困らせたんだろうが!」
「ひっどいなー。要らん事って、別に変わった事は聞いてないですよ」

 沖田のにーちゃんがそう言ってそっぽを向く。
 確かに変わった事は言われなかったけど…千鶴ねーちゃんの事ずっと呼んでくれなかったのはやっぱり意地悪としか思えないんだけど。

「ったく、悪かったな。こいつにも悪気は…なかった………はずだと思うが、よ」

 溜め息と一緒に旦那さんがそう言う。

「おれ平気だよ。お佐都、泣かしちゃったけど…」
「そうか。ああ、お前らこの後直ぐ帰らねぇといけねぇのか?」
「お届け終わったらどっかの神社にでもいって遊ぼうかなぁって思ってた」
「んじゃ時間はあるな。侘びと言っちゃぁ何だが、美味い菓子があるぞ。上がって食っていけ」
「おかし?」

 一番最初に反応したのは仁吉だ。

「ああ。上がれ上がれ」

 旦那さんは喜んでる仁吉を抱き上げて草履を脱がすと、土間の隣にある囲炉裏の部屋に上がらせてくれた。

「ほら、利助君も」
「えーっと…じゃあ、お邪魔します」
「どうぞ」

 千鶴ねーちゃんに促されておれもお屋敷に上がらせてもらう。
 お邪魔するのは初めてじゃないけど、広いお屋敷に上がるのはやっぱり緊張する。
 それに…。

「なに?」
「…にーちゃんもやっぱり新選組の人?」
「それ、君に言ってどうするの。何か意味っイタッ!」

 ゴンッていう音がしたと思ったら、

「総司っ」

 土方の旦那さんがにーちゃんの頭を殴ってた。
 あ。
 旦那さんの手が、ぐーになってる。
 とーちゃんに怒られる時おれもあれをくらった事あるけど…痛いよなぁ、あれ。

「いきなり殴らないで下さいよっ!」
「子供相手に何威嚇してやがんだ、てめぇは!」
「威嚇なんてしてないしっ!って言うかあんまり怒鳴らない方がいいんじゃないですか?」
「あぁ?」
「土方さんの怒鳴り声が胎教に良いなんてこれっぽっちも思えませんよ。ねぇ、千鶴ちゃん」

 お佐都を部屋に上げておきたのにーちゃんを振り返った千鶴ねーちゃんが、そっとお腹に手を当ててふんわりと笑った。
 思わずじっと見ちゃったその笑顔は綺麗だって子供のおれにだって分かる。
 仁吉もお佐都も一緒になって笑っちゃうくらい優しくて暖かい千鶴ねーちゃんの笑顔。

「あ…」
「大丈夫ですよ歳三さん。だってこれが日常なんですもの」
「いや…でもだな…」

 お前ぇに怒ってんじゃねぇかんな?って言いながら千鶴ねーちゃんのお腹に手を置いた土方の旦那さんはなんだかちょっと困り顔だ。
 こんな旦那さん初めて見たかも。 

「ふふっ」

 小さな笑い声が聞こえたからちらりとそっちを見たらおきたのにーちゃんが二人を見てた。
 さっきとまでは違った優しい感じがする。
 けどおれと目が合った瞬間、それが何だか不機嫌なものに変わってしまった。

「何見てんのさ」

 …そっか。
 何だ、そうなんだ。
 おきたのにーちゃんもおれ達と同じなんだ。

「ねぇ、ちょっと君」
「おきたのにーちゃんも千鶴ねーちゃんのこと好きなんだ」

 何となく土方の旦那さん達に聞かれちゃいけないと思って、おきたのにーちゃんの側に行ってぽそっと言ってみた。

「は…はぁ??君何言ってんの!?」
「やっぱりそうなんだ。おきたのにーちゃん耳が赤いよ」
「なっ!?」

 凄い速さでにーちゃんは耳を隠しちゃったけど、おれもう見ちゃった後だもん。

「おきたのにーちゃん、おれ達と同じで千鶴ねーちゃんと土方の旦那さんが好きなんだね~」
「……………はぁ?」
「え?だからおれ達と」
「いい、言わないで。寒気がする」
「?」

 おれ、なんか変なこと言ったかな?

「ねぇ利助君」
「え?」
「今君が言った事は絶対二人には言わないって誓える?」
「………?」
「君があの二人を好きだって言うなら、さっきの事は誰にも言っちゃ駄目なんだよ、分かる?」
「そうなの?」
「うん」

 おれの両肩に手を置いて小さな声で話していたおきたのにーちゃんの目がすっごく真剣で、でも何だか悲しくて。
 何となくまだ土間で千鶴ねーちゃんのお腹に話しかけている旦那さん達を見る。
 そしておきたにーちゃんの目をじっと見て、頷いた。

「分かった、おれもう言わない」
「絶対だよ」
「おれ男だもん。おきたのにーちゃん男にはね【にごん】ないんだよ」
「へぇ、言うじゃない」
「へへっ」

 おきたのにーちゃんがにっと笑っておれの頭にポンと手を置くと、くしゃくしゃって撫でる。

「僕は新選組一番組組長沖田総司」
「一番組?一番って組長の中で一番強いって事!?」
「総司は強ぇぞ。新選組には強ぇ奴は沢山いるがその中でも飛び抜けて強ぇ男の一人だ」
「旦那さん」

 おれが聞いた事に答えてくれたのはおきたのにーちゃんじゃなくてこっちに近付いて来てた土方の旦那さんだった。

「旦那さんとどっちが強いの?」
「そりゃあ」
「土方さんは卑怯な戦い方の天才だから」
「んだと!」
「ああほら、また胎教に良くないことしてますってば」
「………くぅっ」
「歳三さん…」

 あーあ。
 旦那さんおきたのにーちゃんに何も言い返せないまま千鶴ねーちゃんの肩におでこを置いちゃった。

「おきたのにーちゃんの勝ちだね」
「当然だよ。おちびちゃん達は先に行っちゃったみたいだし、君もお菓子食べるんでしょ」
「あ、勝手に食べちゃってないかな」
「大丈夫、お菓子のある部屋には近藤さんが、新選組の局長がいるからね。一緒に食べてるよ、きっと」
「局長?」
「うん。だから副長なんて放って行こう」
「おきたのにーちゃん」
「総司って言うんだよ、僕。さっき言ったでしょ?」
「そうじにーちゃん?」
「うん。ほら行くよ」
「あ、うん!」

 おきたの、じゃなくて、そうじにーちゃんの後について俺も歩き出す。
 後ろから土方の旦那さんと千鶴ねーちゃんも歩いて来る。

「ねぇ、さっき何か言いかけたよね」
「さっき?あ、うん。千鶴ねーちゃんのやや子が生まれて男だったらそうじにーちゃんが剣を教えるの?」
「僕が?」
「だって一番強いんでしょ」
「どうかなぁ。僕、人に教えるの苦手なんだけど…でもそれも面白いかもね。誰かさんは自己流だし?」

 後ろに向かってわざとそうじにーちゃんが言う。
 何か言い返そうとした旦那さんだったけど…あははっ止めちゃってる。
 千鶴ねーちゃんもくすくす笑ってた。

「女だったら、千鶴ねーちゃんが色々教えてあげるんでしょ?」

 だからね、っておれや仁吉、お佐都で考えてた事を口にする。

「おれ達が楽しい遊びを一杯教えてあげる。でね一緒に栗拾いとか川遊びとかしたいんだ!」
「本当?利助君!」
「うん!おれ下の子の面倒みるの得意だよ。だから、やや子生まれても…遊びに来てもいい?」

 もちろんよって嬉しそうに笑う千鶴ねーちゃんが、

「良かったね、利助お兄ちゃんが貴方と遊んでくれるって。だから、桜が咲く頃には元気に生まれてきてね」

 そう言ってお腹を優しく擦った。

「桜かぁ。御花見もしなくちゃね」
「お花見!」
「何だか楽しい事が一杯だから、お腹のやや子もわくわくしてるんじゃない?」

 そう言ったそうじにーちゃんも楽しそうだ。

「桜が咲く頃にゃ俺も父親か…」
「歳三さん」
「忙しくもなんだろうが幸せも一気に増えんだろうな」
「はい!」
「あー!にいちゃんきた!」

 向こうの部屋からまんじゅうを手に握った仁吉とお佐都が顔を出した。
 笑顔で迎えてくれた知らない人がいたけど、きっとこの人が局長なんだ。

 ここのお屋敷はいつだって笑顔がいっぱいある。

 だからおれ、ここが大好きだ!
 桜が咲いて春が来たら笑顔が一杯増えるんだろうなぁって考えたらすっごく嬉しくなっちゃった。

 秋も冬も飛び越しちゃって。

「早く春が来ないかなぁ!」

 思わず言っちゃったおれの言葉に、また沢山の笑顔と笑い声が部屋いっぱいに広がった。

 


終わり

 

 

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