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珍しい事をやっってます…今日は雨…かな…。
はい、夫婦騒動録11話目UPです。
土方さんを早く出したいが為に頑張りました…が。

しまった…orz

土方さんが出てこない…。
それなのに何気に長い…。
夫婦騒動録は土千なのにどこかソコハカトナクおーるのカホリが…。
と、とりあえず、千鶴は皆に大切にされてますよ的な閑話の様な物だと思って下さい。
(何言ってるのか分からなくなってきた…)

えっと。
そんな小説は右下からどうぞ。

 

 


「お早うございます」

 先に走って行ってしまった藤堂を追いかけて、千鶴もやっとで藤堂と井上がいる勝手場に顔を出す。

「おや、お早う千鶴さん」

 振り返ってそう言った井上が千鶴の姿を見て一瞬目を見開き、そして穏やかに笑った。

「頂いたお着物を着てみました。どうですか?」
「驚いたよ。ああ、嬉しいねぇ、よく似合っているじゃないかい」
「ありがとうございます。私このお着物大切にします!」
「うん」

 笑顔で会話する二人を見ながら、襷掛けをしていた藤堂が声をかけて来る。

「千鶴、その姿土方さんにも見せて来いよ」
「トシさんにはまだ見せてないのかい?」
「最初はやっぱり井上さんに見て頂きたくて。それに朝もまだ早いですし」
「もう明六ツはとうに過ぎているからトシさんならもう起きているはずだよ。さぁ行っておいで」
「途中他の奴に掴まんなよ」
「えと…じゃあ行ってきます」

 ぺこりと千鶴は頭を下げると勝手場を離れていった。

「やはり女の子だねぇ。ああしている姿が本当に自然で可愛らしいよ」
「うん、俺もそう思う」
「あんなに可愛らしい子に男装をさせていたとは、勿体無かったね」
「激しく同感!」
「これからは、トシさんが彼女を護ってくれるだろう。さ、朝餉の仕上げをしようか」
「………寝坊してごめんなさい」
「…今朝は機嫌がいいから怒らないでいてあげるよ。私が千鶴さんと交代していなかったら彼女が一人で準備する羽目になっていたんだよ」
「うっ」
「次はないからね」
「うえっ?」
「トシさん、副長に報告するよ」
「あああああっそれだけは勘弁して下さい~~~っ」
「全く…仕方がないねぇ」

 くすくすと苦笑しながら井上は勝手場の出入り口に、先程千鶴が立っていた場所に目を向けた。
 女子として生まれ、育てられた千鶴の本来あるべき自然な姿。

「幸せになって欲しいものだよ、本当に」
「源さん?」
「なんでもないよ。さて平助はそっちの酢物の味を付けてくれるかい」
「りょうかーい」

 いい匂いで充満された勝手場で朝餉の支度が整い始める。
 その頃千鶴は土方の部屋の近くまで来ていた。

(どうしよう…許可を頂いてから着替えた方がよかったかなぁ…)

 いくら井上にこの姿を見てもらいたかったとはいえ、娘姿で屯所内を歩くのは拙かったのではないか。
 今更になって不安が募り出す。

(怒られたらどうしよう…ま、まさか破談になったりとかしないよね!?)

 不安でいっぱいになってしまった千鶴の歩みが自然と止まってしまう。

「どうしよう…」

 ポツリと不安を零したその時、土方の部屋より手前の障子戸が開けられた。

「何がどうしようなわ…けって……お早う、千鶴ちゃん」

 中から姿を見せたのは、そこの部屋の主である沖田だった。

「土方さんのお嫁さんになるって決まったとたん男装やめちゃたの?ちょっと浮かれすぎじゃないかなぁ」

 千鶴の娘姿に目を奪われつつも、いつもの口の悪さは健在のようで。
 言われた千鶴は肩を小さく揺らし俯いてしまった。

「そう…ですよね。申し訳ありません…私」
「可愛いと思うよ」
「着替え…え?」
「どうしたの、その着物」
「これ…は、昨夜井上さんに頂きました」
「へぇー源さんが」

 娘姿を咎められたと思ったのだが、…何だか話の流れが掴めない。

「で、ここにいるって事はその姿を土方さんに見せに来たんだ?」
「…はい。井上さんと平助君に見せておいでと言って頂きましたので…」
「ふ~ん。何?もしかして僕3番目?」
「え?」
「その姿見たの」
「えっと……はい。沖田さんで3人目です、見て頂いたのは」
「3番目かぁ。どうせなら一番最初が良かったな」
「す…すみません」
「…土方さんはまだなんだよね?」
「はい、今からお伺いしようと思ってましたので」
「そう」
「はい…」
「じゃあ行こうか」

 そう言った沖田は千鶴の手を取って歩き始める。
 ………土方の部屋の方とは真逆の方向へ。

「お、沖田さん?」
「良いから良いから」
「良いからって…ええっ?」

 千鶴は土方の部屋を振り返るが、しっかり握られた沖田の手に引かれどんどん遠ざかっていく。

「あの、どちらにいかれるんですか?」
「う~ん、どこにしようか?」
「はい?」

 別に当てがあるわけでもないらしく、ただどんどん屯所の中を進んでいく。
 と、前方から見知った顔の男性がやってきた。

「げ…朝からなんで…」

 ぼそっと呟いた沖田の声に千鶴が前方を確認する。

「……伊東…さん」
「あら沖田君。こんな朝早くから奇遇ですね。それに…雪村君…かしら?」

 珍しい格好をしているのねと声をかけてきたのは新選組参謀、伊東甲子太郎その人だった。

「お早うございます伊東さん」

 律儀に頭を下げる千鶴に沖田が小さな溜め息を吐いた。

「土方君のお小姓に女装をさせて遊んでいらっしゃるの?」
「貴方でも冗談なんて言うんですね。って言うか伊東さん最初から気付いてるんでしょ、彼女の事」
「堂々と仰るという事は、何かしら?彼女を監禁する事を止めたという事かしら?」
「彼女は新選組が保護していたんです。彼女の行方不明の父親が以前うちに出入りしていたから彼を探す手伝いを」
「まあそうでしたの。私はてっきり彼女のお父上を探す為に人質として監禁していらっしゃるのかと思っておりましたのよ」
 
 笑顔でそう言った彼の眼は、酷く冷たい。

「へぇ~。面白い事言うんですね。妄想癖でもあるんじゃないですか?」
「お、沖田さんっ」

 余りな言い様に思わず繋いだままの沖田の手を千鶴が引いた。

「君は黙っていて」
「いいえ黙りません。伊東さん、私は監禁なんてされていません。…最初の頃は確かにお部屋から出る事は許して頂けませんでしたが今は色々お仕事を頂いてます。それは強制では無く私が土方さんに我侭でお願いした事です」
「千鶴ちゃん」
「それにこの小袖は、その…あの…」
「何かしら、雪村君」
「井上さんから…………と………です」
「え?」
「ひっ土方さんとの婚姻祝いに頂いた物ですっっ!!」
「……………はい?」

 伊東にしては珍しく、少々戸惑った返事が返ってきた。

「い、いくらなんでもそんな冗談真に受けませんことよ?」
「冗談なんかじゃっ」

 顔を赤くした千鶴が本当だと告げようとした時。

「彼女の言葉に偽りはありません、伊東参謀」

 千鶴達の背後から、いつの間にか側にきていた斎藤が彼女を庇うように前へ出た。

「斎藤さん」
「なんだ一君、君いたの」
「総司、お前は言葉が過ぎる。伊東参謀、申し訳ありません」
「何で君が謝るんだよ」
「黙っていろ総司」
「あらあら。別に気にしていませんわ。お気になさらず。でも、土方君と雪村君が婚姻を結ぶなど聞いてませんわ」
「いえ、正しくは正式にお披露目をする事となった次第です」
「正式に?」
「副長と彼女は既に将来を約束した間柄。ただ以前新選組に出入りしていた蘭方医、つまり彼女の父親が何らかの事件に巻き込まれて行方知れずになった可能性が高い故その彼女を守る為、副長は彼女に男装をさせお側に置いていらっしゃったのです。小姓として彼女を側に置けば必然的に共に過ごす時間が多く自然と心を寄せ合うようになったのだと副長が申しておりました」

(流石だな一君。よくそんな嘘がぽんぽん出てくるよねぇ…あ~でもあながち嘘でもないか…)

「ですが彼女の正体を明かせば屯所には置けなくなります。ですから新選組がある程度組織として大きくなるまではお互いの関係は秘密にしておこうという事だったらしいのですが」
「それが何故、今?」
「土方副長に見合いの話がきた為です。副長には彼女が居ます。それを断る為、先方に真実を明かしたところ彼女に会わせて欲しいと申し出られ、断る事もできず今回の機を持って正式に婚姻を結ぶ事になったのだと昨晩、俺達も聞きました」

(嘘吐いてる様で嘘じゃない…面倒臭くて僕はやだな)

 呆れた様に息を吐く沖田に、驚いた表情のまま斎藤を見上げる千鶴。
 そして嘘の様な真実の様な嘘をつらつらと並べ立てる斎藤。
 そんな三人を見て伊東は大きく息を吐いた。

「分かりましたわ。そういう事でしたら後日私からも何かお祝いの品を贈らせて頂きますわね」
「どうぞお気遣い無く」

 そう返したのは婚姻を結ぶ当人ではなく、ムスッとした沖田だったが、

「…総司」
「沖田さんっ」

 二人に窘められる様に名を呼ばれて気分を害したのかプイッとそっぽを向いてしまった。

「宜しいのよ。雪村君おめでとう。あぁもう雪村ではないのよね。土方さんとお呼びするとちょっとややこしいから千鶴さんとお呼びしますわね」
「あ、はい」
「ではまた」

 伊東はにっこりと微笑むと3人の横をすたすたと歩いて行ってしまった。

「べーーーっだ」

 子供の様に彼のいなくなった方向へ向けて舌を出す沖田に、

「お前は童か総司。いい加減にしろ」

 呆れた様に斎藤が言った。

「お前の言動が副長だけではない、引いては局長や新選組にまで害を及ぼすかもしれんのだぞ」
「大袈裟な」
「大袈裟ではあるまい。お前は一番組を預かる組長だ。お前の影響力は強いのだと自覚しろ」
「煩いなぁ…」
「総司」
「はいはいわかりましたごめんなさい」
「……総司…」
「あ、あの」

 放って置くと何時終わるか分からない沖田と斎藤のやり取りに千鶴が言葉を挟む。

「なに、千鶴ちゃん」
「私、監禁されたなんて思ってませんから!」
「…………ぷっ、あははっくくっふっあははははっっ!」

 千鶴の言葉に沖田が笑い出した。

「そ、そんなに笑うこと無いじゃないですか」
「だっだって、君逃げたら殺すって言われて部屋から出る事も許されなかった身だよ?」

 どう考えても監禁でしょ、そう言って沖田が千鶴を見下ろした。

「でも、酷い事は…苦しい事は何もありませんでした。ただ……寂しいだけで…」
「君は…お馬鹿だね」
「もう沖田さん。私は本当に」
「分かった分かった。分かったよ」
「本当ですか?」
「本当です。ところでさ、一君」

 さっきまでの機嫌の悪さはどこへやら。
 ニヤリと笑った沖田が斎藤に呼びかける。

「君さ、さっきから千鶴ちゃんの事視界に入れてないよね」
「そ、そんな事は…」
「無いわけ無いよね。だって今もこっち見てないし」

 沖田の言葉に千鶴も改めて斎藤を見上げてみるが、確かに視線が合わない。

「斎藤さん?」
「否…別に、その、他意はないのだ」
「だったら千鶴ちゃん見てやんなよ。とっても可愛いんだから」

 そう言うと千鶴と繋いだままだった手を放し、彼女の肩を後ろからグイッと押す事で斎藤に向かい千鶴を突き出した。

「え?」
「ほーらほら。可愛いんだって」
「や、止めろ総司。俺は別にっ」

 頬を赤く染めた斎藤は完全に顔を背けてしまった。

「折角娘姿に戻ってるんだから、ほら見てよ」
「沖田さん…斉藤さんが困っていらっしゃいます。私は、無理に見て頂かなくても……」
「あ~、千鶴ちゃんが悲しそう。良いのかなぁ、副長の奥方を悲しませるなんて」
「お、俺は、だな」

 (か、可愛いとは言えずとも、とても良く似合っていると告げるだけでいいのだ)

 斎藤が何やらブツブツと独り言を漏らしだす。

「さ、斎藤さん?」
「こっちはこっちで純情さんだね。これじゃあ日が暮れちゃうよ…もういいや、行こ」
「ええ…で、でも斉藤さんが」
「良いから良いから」

 さっきも聴いたその言葉と共にまた手を引かれて千鶴は歩き出す。
 土方の部屋を振り返った時と同じ様に今度は斎藤を振り返る。
 まだ何かと葛藤している様でこちらの動きには気が付いていない…あの斎藤一が。
 そんな斎藤が意を決して千鶴に娘姿の感想を告げようと顔を上げた時には…。

 誰一人その場にはいなかった。

 故に項垂れた彼を見た者は居ない…らしい。

 


続く

 


 

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