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相互している『桜と月に盃を』のしょこら様宅から20000HIT御礼企画小説を頂いてきました!
おめでとうございますメールをしたところリクエスト権を頂いちゃいまして☆
速攻返信しました(笑)

リクの内容は『土千+大鳥さんで箱館編』です。

こんなに早く書いて頂いちゃって本当に嬉しいです!
とっても素敵な小説なのでどうぞどうぞ右下からお楽しみ下さい。

しょこら様!
素敵な小説ありがとうございました!!
これからも素敵な物語を楽しみに通わせて頂きますね☆




願わくば


ここに来た当時の土方君はまるで触れようとしただけでも
斬られてしまいそうな鋭い刀の様な空気を常に纏っていた。
恐らく彼の心の中はこの極寒の地のような状態だったに違いない

そうあの時までは。



「こんばんは~お邪魔するよ」
「大鳥さん、こんばんは」

扉を開いてくれるのは彼の小姓で、いつもこちらが見ていても
心の中が暖かくなる様な笑顔で室内に向い入れてくれる。

「やぁ土方君。元気にしてるかい?」
「・・・昨日の夜会ってたはずだが?」
「昨日は昨日。今日は今日だよ」

僕は大体仕事が片付くと土方君の部屋に来て、
お茶をご馳走になるのが日課になってきている。

「そんなに暇なら俺の仕事の半分でも持っていって欲しいもんだが」
「何言ってるんだい。君の嫌っている仕事は僕がやってるじゃないか」

土方は人前での演説などは得意ではないので、大鳥や榎本が
担当する事に自然と落ち着いてしまっていた。
大鳥は部屋に置いたあるソファーに座り、仕事机に座って書き物をいる土方と
その彼の近くで雑務をこなしている千鶴を見ながらニコっと笑う。

「暫らくお待ちいただいて宜しいでしょうか」
「うん僕は大丈夫だよ」
「大鳥さんは自分で勝手にここに来て居座っているんだ。気を使うことなんてねぇよ」
「ひどいよ土方君」

しばらくすると仕事が一段落し土方が休憩のため、
大鳥が座った目の前にドサッと座り先ほどの話を続ける

「大体毎日毎日なんで此処に来るんだ」
「来ちゃいけなかったかい?」
「ああ、邪魔になる」
「僕は二人の邪魔はしているつもりは無いんだけどな~」

土方は『仕事の邪魔』と言ったのだが、大鳥はそれを解っていて
『二人っきりでいる時間の邪魔』と変えて話をしてきた。
土方の後ろで立って聞いている千鶴にもその事が解ったが、
二人の話の邪魔にはならないよう、叫びたかったのをぐっと堪え口を噤んでその場にいる。

「あんたな~」
「ところで。僕は前々から聞きたかったんだけど、二人は何処まで行ってるんだい?」
「はぁ?何言ってんだよ」
「いや~気になって気になって仕方が無いんだよ」
「馬鹿も休み休み言え」
「雪村君。どうなんだい?」

大鳥は土方が素直に本当のことを言わないと解っているので
後ろに控えている千鶴に話をふる。
彼女の上司のさらに上司の質問には答えてれるだろうと
話をふったのだが

「え?蝦夷までです。此処より遠いところまでは行ってません」
「「・・・・・・」」

何か間違った事を言ったのだろうか。
大鳥は珍しいものを見たような顔で驚いていて、土方は呆れたように千鶴を見ている。

「うん。そうか、ごめんね野暮な事聞いたね」
「え?どう言う・・・」
「君の答えで全て解ったから大丈夫。心配しないで」

大鳥の言っている意味が全く解らず助けを求めるために
呆れかえった顔でこちらを見る土方に意味を教えてもらうために、視線をそちらに移した。

「お前な・・・鈍いにもほどがあるぞ」
「いやいや土方君。そこが彼女の良い所じゃないか。
そうか~土方君はこんな可愛い小姓を目の前にして何もしないなんて尊敬するね~」

千鶴の問いに答えを出してくれるところか、一層あきられてしまった。

「お二人とも何の話ですか?」
「あのな~大鳥さんは俺とお前が男女の関係を何処まで進めたかって聞いてるんだ」
「土方君そんなにはっきり言っちゃ可哀想じゃないか」
「あんたが言い出したんだろうが!」

二人は何でもないように淡々と話を進めるが、千鶴はそんな事を堂々と聞かれた事と
再会した時土方に抱きしめられた事を思い出しだんだんと頬が熱くなってくるのが解った。

「な、な、何を言ってるんですか大鳥さん」
「おや?その反応は全く何も無かったとは言えないのかな?」
「そんな!何もありません。抱きしめられたくらいです」
「おい」
「そっかぁ土方君は君を抱きしめるまではしたんだね」

自分で言った事にハッと気づき、熱くなった頬に手を当てクルっと後ろを向く
この場をどうにかしなくてはと思い、ドアまで一気に駆けていく

「あ、あの私お茶入れてきますね」

そう言うと部屋から飛び出し、パタパタと厨房に駈けて行ってしまった。
その足音を聞いて、ああ初心だななどと思いながら
スッと目線を今度は土方に向けると
土方はムスッとした顔で大鳥を睨んでいるが
その視線は以前と比べ、面白いほどに殺気などは感じられなかった。

「なんだい?土方君」
「あいつをあんまり、からかうんじゃねぇ」
「それは何かい?からかうのは君だけの特権だって言いたいのかい?」
「ああ、そう取ってもらってかまわねぇ」
「ずいぶん丸くなったね~土方君は」

そう彼とはじめてあった時は、土方とこんなに穏やかに話せるなんて思ってもみなかった。
もちろん土方もそうだ。大鳥とは絶対に意見や考えが違って
最後までぶつかって終わりを迎える。そう思っていた。

「実はね、僕は君達・・・いや雪村君を初めて見たとき本当は納得してなかったんだよ」
「はぁ?今更かよ。そんなのは新選組以外の連中は全員だろ」
「うんそうだね。戦場に少女がいることが違和感だった」
「そうだろうな」

大鳥だけではない。兵士のほとんどがそう思っていたはずだ。
『土方副長の小姓』とは見ないでただの『役に立たない女』と見ていたはずだ。

「僕はてっきり君の『色小姓』だと思っていたんだよ」
「はぁ?何言ってんだてめぇは」
「まぁまぁ怒らないで聞いてよ」

怒らずにはいられない言葉を聞いた。あいつをそんな風に扱ったことなんて一度もねぇ。
苛立ちが募るが、大鳥の言い訳を聞いてからでも怒るのに遅くは無い。

「でもね、君達の間にそういった雰囲気は無いし、彼女も懸命に負傷した兵士の手当てをしてた。
その手当ても手際がいいので、医者として置いてるのかと思い始めてきたとき
君は雪村君を仙台に置いてきた」
「・・・本当ならあいつを早く解放するつもりだった」

苦いものを吐き出すように以前の思いを口にした土方を見る。
『解放』という言葉に疑問を感じたが、恐らく土方はその理由は言わないだろうと思い話を続ける

「でもね君達の別れを見てしまって気づいたんだ」
「・・・見てたのは気づいてたが・・・」
「君達はそういった関係ではないがお互いに支えあっていたんだと」
「ああ。俺はあいつに支えられてる」
「だから死にそうな顔でいる君の隣には彼女が必要なんだと思ってさ」
「あいつを此処に呼んだってわけか」

そう。それは正解だった。千鶴が来てから土方は死にそうな顔でいることは無くなり
彼女を守るためなのか以前より強くなったようにも思える。
その時控えめのノックが聞こえ千鶴がお茶を持って入ってくる。

「お待たせしました」
「いつも悪いね」
「そう思うなら来るな」

千鶴に聞かせる話ではないのでお互いこのことはもう話さないで
何事も無かったように千鶴を向い入れた。
受け取ったお茶を一口飲むとやはり土方好みの濃さと熱さのお茶で
彼のことを一番に考えて入れているとわかる。

「やっぱり君みたいな奥さんが欲しいよ」
「他を当たってくれ。こいつは俺のだ」
「ひ、土方さん、大鳥さん。冗談は止めて下さい~」

じゃれあってる二人を見てあの時の言葉を思い出す。

『俺にはお前を幸せに出来ない』その言葉を聞けば
『お前には幸せになってほしい』という意味に思うが大鳥には違うように聞こえた。
『お前を幸せにしたい。でも今の俺には無理だ』と聞こえたのだ。

土方君。君は彼女を幸せに出来ないといってた。雪村君も幸せなんか要らないと言っていた。
でも今君達はその言葉とは反対になってるよ?。
彼女を傍に置くだけで君は彼女を幸せにしているし
土方君が傍に置く許しを出した事で彼女は幸せになっている。

この先の戦いは厳しくなると思うが
どうか彼らの心にようやく訪れた春が散っていってしまわぬよう
僕は願い続けるだけだ。





月と桜に盃を:しょこら様より』
 

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