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【和花】 なごみばなと読んで頂けると嬉しいです。 乙女ゲーム系二次小説オンリーサイトです。
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珍しい事に2日続けて更新です(笑)
夫婦~で書きたいなぁと思う場面が浮かんでいるのですが、それが話が進まないことには書けない内容なので(そりゃそうだ)ぽんぽんっと珍しい事をしました。
でもまだそこには辿り着けなくて…。
この勢いで書き続けたいけど、リクも書きたいし…。
二兎追う者は一兎も得られないかもしれませんが、追いかけてみようと思います…やれるだけ…。

今気が付いたんですが、今日でマルっと半年経ちました。
『和花』を立ち上げてです。
なんだかあっという間の半年でしたが、これからも頑張ります!

今回は色々と皆が話しているんですが、雰囲気で誰がそれを言っているか読み取ってやって下さい…。
小説は右下からどうぞ。

 

 


「ほら、トシも知っとるだろう?江戸に本店を持つ泉屋さんを」
「ああ、あの大店」
「泉屋さんは京にも店を構えてたんだが、春には江戸に移られる事になってな。こちらで使っていた家をこのまま空き家にするのはやはり愛着がある分寂しいと仰って」
「それを買い取ったのか?」
「うむ。大切に住んでもらえるのならば、これ以上嬉しい事はないと。流石は大店を構えるだけあって驚くほどの格安でな」

 先に別宅の事を聞いていた土方はともかく、今初めて聞いた千鶴は流石に固まっている。
 土方との婚姻の事だって昼間の騒動からバタバタと決まったものだし(お互いの気持ちを確認してだが)、いきなり別宅と言われてもどうしてよいやら。
 そこで、千鶴は1つ気になる事が浮かんだ。

「あ、のう」

 おずおずと近藤に問いかける千鶴に、彼からは笑顔で返事が返ってくる。

「どうしたのだね?」
「どう、どうしたというか…その…別宅というと…屯所の外に…なるのですよね?」
「もちろんだが?」

 それがどうかしたのかという近藤の優しい物言いに千鶴は戸惑いながら少し前に居る土方を見上げる。
 するとこちらを見ていたらしい土方を目が合って、思わず逸らした後下を向いてしまった。
 やはりなんだかまだ恥ずかしい。
 目を逸らした千鶴に悪気があったのでは無い事はもちろん土方も分かっている。
 そして彼女の言わんとする事も『屯所の外』という言葉から推測できたので、代わりに近藤に問いかけた。

「こいつは特殊な預かりモンだ。屯所の外で暮らす事になるのは問題じゃねぇのか?」
「千鶴君は逃げたりせんし、あの事を誰かに言いふらしたりはせんよ」
「近藤さん」
「しかし、昼間はどうしても一人になってしまうなぁ」

 それはそうだ。
 土方がもしこのまま別宅に千鶴と移ったとしても、新選組の仕事は屯所で片付けるべきだ。
 そうなれば必然的に千鶴は一人になってしまう。
 監視対象にある千鶴を一人にするのは如何な物かと、副長としての立場から土方は近藤に問うたのだ。

 ―――が。

「それでは千鶴君に寂しい思いをさせてしまうな」

 近藤から返ってきたのは、千鶴を思っての優しい言葉だった。

「昼間は今まで通り屯所に来てもらうというのはどうだ、トシ」
「いや近藤さん…俺が言いたいのはそういう事じゃなくてだな」
「本来ならばもっと早くに自由にさせてやるべきだったのに、こちらの都合で今まで縛り付けていたのだ。トシとの婚礼を機に自由を返すべきだろう」
「近藤さん…」

 近藤の言葉は千鶴を気遣ったものばかりで、先程止まったばかりの涙がまた溢れそうになる。

「ありがとうございます…ありがとうございます…」

 千鶴は両手を膝の前に付き、深々と頭を下げる。
 近藤の言葉と優しいその心がとてもありがたかった。

「トシ、千鶴君の事はお前に任せるから、幸せにしてやるんだぞ」
「近藤さん、あんたは甘過ぎるぜ。けど」

 土方も千鶴と同じように深く頭を下げ、

「心から礼を言う。ありがとう」

 そう告げた。
 二人のその姿を見た近藤は更に笑顔を深くし何度も頷く。
 そんな三人の姿を見ていた他の幹部隊士はどう口を挟んで良いやら考えていたのだが、

「…祝言は?」

 斎藤がそう尋ねた事で他の者達も動き出した。

「そうだよなぁ、やっぱ千鶴の白無垢は見てみてぇよな」
「土方さんはやっぱり裃か?」
「千鶴ちゃんの白無垢姿は興味ありますけど、土方さんの正装は見なくてもいいなぁ」

 あははは~と沖田が笑う。

「だよな~。千鶴は…綺麗だろうなぁ~…」
「ああもちろんだとも平助!こんなに別嬪さんなんだ。花嫁姿は格別だろうて!」

 近藤も乗り気ではあるのだが。
 それに待ったをかけたのは当の土方だった。

「ちょっと待て。島津さんには俺達はもう婚姻している事になってんだぞ?祝言を挙げちゃあおかしいだろうがよ」

「「「「「えぇぇええええっ!」」」」」

 土方の言葉にその場にいた男達の不平が見事に重なった。

「ちょっ、ちょっとたんま土方さん!」
「女にとっちゃぁ一生に一度ってぇ云われる晴れの舞台なんだぜ」
「そーだぜ土方さんよぉ!そりゃああんまりだろっ!!」
「土方さんは千鶴ちゃんの白無垢姿、見たくないんですか?」
「しかし…副長の言葉にも一理ある」
「へぇ~、んじゃ一君見れなくていいんだ。千鶴ちゃんの白無垢」
「そっそうは言っておらんだろう!ただ、見合い話を断る為だけの芝居ではないか…疑われるのではと」
「何だ一君だって千鶴の白無垢見たいんじゃん」

 ぎゃあぎゃあと当人達を差し置いて周りが騒ぎ始める。
 そんな姿を見た近藤がお猪口を床に置き腕を組むと土方に問いかけた。

「トシ、最初の切っ掛けが何であれ、婚姻を結ぶと決めたのはお前たちだろう」
「ん?ああ」
「大事な娘さんを嫁に頂くのに祝言も無しでは申し訳がたたん」
「たたんって言われてもなぁ。俺ぁ近藤さんや幹部であるお前達の前で誓いの杯を酌み交わせれば良いんじゃねぇかと思ってたんだが…」
「あの、私も…お世話になっている身ですし…それにこの方と望むお人の元へ嫁げるのですから…これ以上望む事はありません。十分幸せですし、ありがたいと思っております」
「まぁ惚れてる女の白無垢が見れないのは残念ちゃあ残念だけどよ」
「ひっ土方さん!」

 土方は千鶴の方へと身体の向きを変えスッと手を伸ばすと千鶴の頬に触れた。

「屯所の外で暮らすとなりゃあ女の格好をさせてやれる。俺から着物を贈らせて貰うからよ、それで勘弁してくれ」
「そんなっ私、幸せですっ…これ以上幸せを頂いたら…溢れてしまいます…」
「溢れた分はよ、俺が時間をかけてお前に戻してやるから、安心しろ」 
「土方さん…はい」
「ったく、また泣く」
「幸せすぎて……一度に沢山いただき過ぎて溢れてしまうんです」
「なら、それを止めるのは俺の役目だな」
「え?」

 千鶴に触れている手で優しく頬を撫で、その反対側の頬に顔を寄せた時。

 ゴホンッ

 明らかにワザとらしい咳払いがすぐ側で聞こえた。
 それにしまったと動きを止めた土方と、慌てふためく千鶴。

「すまんがトシ、その続きは部屋でしてくれんか」

 悪気のない近藤の笑顔に流石にバツが悪いのか土方は顔を背けてしまう。
 しかし近藤の言葉にもう1つ忘れていた事を思い出した。

「…あ、部屋で思い出した。俺達まだ飯食ってねぇんだった」
「……副長、まだ自室に戻られて居なかったのですか?」
「ああ、近藤さんにだけでも先に報告しておこうと思ってたからな。それがどうした、斎藤」
「お二人の膳は冷えてしまってましたので、新八達に片付けさせました故」
「おう!もう俺達の腹ん中だ」
「お部屋に書置きをしておいたのですが」
「書置き?」
「一君、千鶴ちゃんに何か作ってもらえって書いたらしいですよ」
「もらえなどと書いてはおらん」
「意味はそうでしょ」
「総司…あんたさっきからやけに突っかかってくるな」
「気のせいだよ」
「それにしては」
「煩いなぁ、気のせいって言ってるだろ」
「……つまり飯はねぇって事か」

 火照った頬に手を当てて少し俯き加減の千鶴に、

「千鶴、勝手場の残りもんで何か作ってくれるか?」

 と頼めば、

「あ、はっはい!簡単な物で宜しければ」

 千鶴が慌てて顔を上げそう言って立ち上がると、広間から出て行った。
 彼女が居なくなれば(あれでも)遠慮していた男達が騒ぎ出す。

「土方さんあんたも変われば変わるもんだな」
「んだよ、原田」
「表情が緩みっ放し。まぁあれ程の上玉手に入れりゃあそうもなるんだろうけど」
「左之の言う通りだぜ。千鶴ちゃんは嫁にするなら最高な女だろ。料理も出来るし裁縫も上手い。気遣いも細けぇし慎ましやかというか、亭主を立ててくれる女だ」
「だけどさ土方さん。本当に祝言挙げねぇの?女の子ってさやっぱり夢なんじゃねぇの、白無垢着るの」
「…仕方ねぇだろ。慌てて祝言挙げてたら島津屋の思う壺だ」
「千鶴ちゃんを利用してんじゃねぇよな?」
「最初はそうだったんだよ、最初はな。見合い話を断りたくて助けを求めた近藤さんの嘘から始まった事だしよ」

 あれが今回の事の発端だ。

「まさかこんな風に転がってくとは、思いもしなかったよ」
「ねぇ」
「何だ平助」
「千鶴、さ。俺達が思っている以上に…やっぱり寂しかったと思う…んだ。だからさ土方さんが千鶴を娶るって言うんなら、寂しい思い出来るだけさせないでやってよ」
「…だな。良く考えればさ、千鶴の泣き顔なんてさっきのが初めてだよな。寂しいの堪えてんの分かってても…俺達にゃ慰めてはやれても消し去る事は出来ねぇ」
「土方さん」

 表情を真剣なものに変えた永倉が、土方を正面から見据える。

「新八?」
「俺はよ、千鶴ちゃんの事を可愛い妹分だって思ってる。だからなんつーか、兄貴分としちゃあよ、やっぱ幸せになってもらいてぇって思うんだ」
「新八っつぁんが真面目なこと言ってる…」
「うるせえぞ平助。…ま、だからよ。俺達で出来る事がありゃ手ぇ貸すし、その、なんだ」

 胡坐を掻いていた永倉は両膝の上にぽんと手を置き、頭を下げた。

「俺達の可愛い妹を幸せにしてやってくれ」 
「しーんぱち、お前何かっこつけてんだよ」
「ほんとほんと。でも新八っつぁんらしいよな」
「喧しいっ」
「けど千鶴ちゃんも大変だよね新八さんが兄貴なんて」
「総司、どういう意味だよ」

「「「暑苦しい」」」

「なっ!つか左之っ平助っっ、てめぇらまで!!」
「お、気持ちいいくらいに揃ったな」
「マジすげぇ」
「おーまーえーらーーーっ!」

 怒鳴りながらもやはりどこか照れがあったのが、顔が赤いのが見て取れた。
 ふっと思わず土方が笑う。

「ひ、土方さん…。俺は真剣に!」
「分かってるさ新八。それにお前らも、ありがとう」
「よせよぉ土方さん!照れんじゃねぇか」

 何だかんだと言いながらも祝ってくれる仲間達を見ながら、改めて思う。
 彼女がここに来てやっと一年が過ぎた頃だというのに、たったそれだけの期間でこうも自分達の中に浸透している千鶴。
 
 そんな彼女を娶れることがなんだか誇りに思えた。

 

 

続く

 

 

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